日々の投資手法研究38 #令和テック2 #メタウォーター #オプトホールディングス #井関農機
日経産業新聞からです
投資手法研究37ではまだ未上場のスタートアップでしたが、ここでは新時代に向けて既存の公開企業がどのような取り組みを行い、新時代の飛躍を考えているかを特集しています。
その中で特に印象に残った企業と社長インタビューを取り上げてみました。
IoT推進、信頼高める
メタウォーター 中村靖社長
①令和の時代、デジタルトランスフォーメーションの波は必ず水業界にもやってくる
②当社は独自のクラウドシステムによる広域監視や設備管理を通じ、現場作業のデジタル化を推進。ICT(情報通信技術)基盤を構築してきた。他企業などにも開放しており、設備の運転状況などのデータを集め、共同で水処理事業の情報基盤を構築していきたいと考えている
③データを活用した設備の運営ノウハウや、機器の故障予知などの分野は競争力につながる。そのために水道事業の広域化に対応できる体制づくりを進める
④今後10年で売上高2000億円を達成し、水処理分野で世界トップ10を目指す
⑤一刻も早く上下水道の全国レベルのIT基盤を構築し、業界をあげてデジタル対応をする必要がある。水業界は電力や通信など他のインフラに比べてITの導入が遅れている。さらに運営主体が地域別になっており、合意形成に時間がかかる。この状態でデジタル化の波が押し寄せたら、まだ見ぬ新規勢力の狩り場になってしまうという危機感もある
⑥水業界にとって令和は淘汰の時代
社員には本業にとらわれず自由な発想で物事を考えてほしい。新しい発想でアイデアを出してほしい
⑦新興国のインフラ開発や人口増加を受け、世界の水処理市場の規模は2020年に15年比2割増の100兆円に達する見通しだが、国内勢は出遅れている。
海外は売上1兆円を超えるメジャーも登場している。
デジタル化支援を中核に
オプトホールディング 鉢嶺登社長
①令和元年となる2019年は、日本でインターネット広告の市場規模が地上波テレビ広告を初めて超える見通し
②令和時代には、人工知能(AI)や、あらゆるモノがネットにつながる『IoT』が世の中を大きく変えるだろう
③ネット広告市場がさらに成長するだろう。IoTであらゆる家電製品がネットにつながることで、ユーザー接点がこれまでになく増える
④広告枠の取引がメーンの従来型の広告代理店から脱皮し、企業のデジタル化を総合的に支援する体制を整えていく、デジタル人材が必要なら、こちらから出向したり紹介したりする。
顧客の要望は広告枠の話だけで無く、ヒト、カネ、モノ、情報など、事業全般のデジタル化支援を求めている
⑤AIを実装することで便利なサービスを開発していく。AIは広告の運用を効率化するほか、ユーザーに合わせたターゲティングの精度を高めることができる
⑥もう1つは中国で、『デジタル商社』として、戦略の立案から販路拡大、提携先の紹介まで、企業の中国進出を総合的に支援する
⑦社員には「最低限のデジタルの能力は必要だが、それに加えて、次の時代のデジタルトレンドがどんなものになるか、想像したり情報を収集したりする姿勢を持ってほしい
⑧成長一辺倒ではなく、精神的な幸せが感じられる世の中になってほしい。経済的な成長を追い求めるだけではない。もちろん経済成長は維持しなければいけないが、社会貢献などもこれからは大切だと思う
スマート農業が増勢
井関農機 冨安司郎社長
①1990年に約300万人だった農業従事者は約30年間で半減、平均年齢も65歳を超えた
②データを駆使する『スマート農業』が勢いづく
ドローンで水田の葉の色を解析して生育状況を確認したり、たんぱく質の含有率を人工衛星で調べ、いつ刈ればおいしいかなどを把握したりすることが可能
③『可変施肥田植機』と呼ぶ、センサーを使って土壌の肥沃土に応じて肥料をまける農機などを販売
④現在は使用者による監視があれば、無人状態でトラクターを稼働できる。自動運転としては『レベル2』の段階
政府は20年にロボット自らが周囲を監視して自律走行する『レベル3』を目指している。
⑤トラクターの最大市場は年間70万台前後のインド
18年に印農機2位のTAFE社と技術提携、米アグコ社と3社で協業できれば良い
⑥これからの人材は新たな視点で物事を考え、積極的に動ける人が望ましい
感想
他にもいろいろなインタビューが特集されており、非常におもしろかったのですが、個人的に興味のある分野として水、農業、ネット広告を取り上げました。
インタビューで共通しているのが
①将来に対する期待
②社員に対する期待
でした、①の将来に対する期待はそれぞれが今後大きな伸びしろがある業界だと考えているので皆前向きに考えています。また、全ての企業が海外で売り上げを伸ばそうとして中国やインドが候補に挙がっています。
②の社員に対する期待は「自由な発想」とか「想像」とかの言葉が目立ちます。
学生時代は自由な人でも社会人になると会社の色やしきたりみたいなものに慣れる様に育成してきたのが日本企業です。
ただ、トップインタビューを読んでいると、本当のところはわかりませんが、社員にもっと色々言って欲しいと思っているのだなぁと感じました。
それぞれの企業のPER、PEG、PSRをチェックしておきます。
データーは四季報オンラインから取ってます。
9551メタウォーター
2019.3予 売上1180億円、営業利益75億円、1株益約193円
2020.3予 売上1230億円、営業利益78億円、1株益約201円
2019年4月26日株価3335円、時価総額864億円
PER=16.6倍、営業利益伸率4%、PEG4.15倍、PSR0.7倍
やはり記事内にもありましたが、国内の規制の多さがあだで中々成長株としてみるには売り上げや利益の伸びが足りないです。社長が2000億円を目指すためには企業買収も考えるとありましたので今後の戦略に注意です。
2389オプトホールディングス
2019.12予 売上960億円、営業利益19億円、1株益48円
2020.12予 売上980億円、営業利益21億円、1株益約52円
2019年4月26日株価1819円、時価総額433億円
PER=35倍、営業利益伸び率10%、PEG3.5倍、PSR0.44倍
現状で見るともう一つ売り上げの伸びが欲しいところです。
5G時代になってどのくらい拡大するか、中国での取り組みがどの位成功するかによって変わってくると思われます。
6310井関農機
2019.12予 売上1640億円、営業利益40億円、1株益71円
2020.12予 売上1700憶円、営業利益45億円、1株益84円
2019年4月26日株価1735円、時価総額398億円
PER=20.7倍、営業利益伸び率12.5%、PEG=約1.7、PSR=0.23倍
以外にネット広告よりも、水処理よりも、農業関連の井関農機が一番指標上割安ですし売り上げや利益の伸びも堅調です。
新興成長株に分類されるよりかは成熟企業に分類されがちですが、今後のインドでの取り組みが成功すればもっと注目されるようになると思います。
PEGの東証1部平均が2.4倍です、当てはめると2,520円になります。
PSRは市場全体の平均が約1倍なので当てはめると7,543円になります。
さすがにPSR1倍は厳しいかもしれませんが、インドでの取り組みに成果が出てくれば2,500円突破して、もしかすると実現するかもしれません。