現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究64 #FRB #利下げ

 

記事紹介①

2019年6月5日日経新聞

FRB強まる利下げ観測 パウエル議長「適切に行動」 貿易戦争激化で景気減速に先手 :日本経済新聞

①パウエル議長は4日の講演で貿易戦争の激化に懸念を示し、「景気拡大を持続させるため適切に行動する」と述べた

②早期利下げ観測に火を付けたのは、セントルイス連銀のブラード総裁で講演会で近く利下げを行う可能性に言及

③年内に0.25%の利下げに踏み切る可能性を98%の確率で織り込んだ。9月までに0.5%利下げするとの予測も49%に達する

④主要中銀の緩和競争が再燃する可能性もある

感想

過去の記事と比べてみたうえで、もし、仮に7月31から利下げを行うとなるとどのくらいのスピードでどのくらいの幅で利下げが行われるか考えてみました。

比較になる記事が

記事紹介②

利上げ停止、来年か20年か FRB割れる 2副議長「早期に」 トランプ氏の批判も背景 :日本経済新聞

2018年11月10日の日経新聞です

この時はまだ株価も上昇基調で今みたいに利下げをいうことはなく、利上げをどこで止めるかが大きなテーマでした。

「計画では3.5%までの利上げ」という一文が印象的です。

まず、今回が利上げの天井となると、2015年12月に0%から0.25%のFF金利の誘導目標を0.25%から0.5%に引き上げがスタートで、9回実施し、直近の最後が2018年12月19日で、現在は2.25%から2.5%目標です。

このときのFRBの見通しは2019年は2回程度、2020年も1回は利上げを行い、3.25%位が打ち止めかといわれていて、米国債が売られて金利が上昇していました

2018年末の証券会社各社のレポートも2019年は利上げが2回なのか1回なのかで騒がれており、利下げの言及をしているレポートはなかったと記憶しています。

今回いつに利下げが始まるかはまだ議論の余地がありますし、米中の貿易戦争や米国景気の状態によっていろいろ変わると思いますが、単純に過去の幅や期間を見て目安を立ててみました。

過去の利下げ局面の利幅と率及び期間

 

日経新聞の記事からだと1990年以降で利下げ局面は3回あり、

1990年10月に8%から7.75%に下げたのをスタートに1992年9月に3%へ

2年で5%、62.5%の利下げ幅でした

その後次の利下げは2001年1月で6.5%を5.5%に下げてから2003年6月に1%へ

2年半で5.5%、85%の利下げ幅でした

直近最後が2007年9月で5.25%を4.75%に下げてから2008年12月には0.25%へ

1年3か月で5%、95%の下げ幅でした

今回は利上げが2015年12月に0.25%を0.5%にしてから2018年12月に2.5%まで3年かけて利上げしてからの利下げですので水準がかなり低いところからの発射となります。

少なくとも率でみると8割は下げそうですので2%下げて0.5%は最低でもなりそうです。

また、期間はスタート時の金利がそれぞれ違うのですが、2%下がるのに要した期間は

1990年10月8%からスタートして1991年3月には6%とたった半年です

2001年1月6.5%からスタートして2001年4月には4.5%とこれは3か月

2007年9月5.25%からスタートして2008年1月には3%とこれも4か月と短いです

2001年はネットバブル崩壊、2008年はリーマンショック前の大手金融機関の経営不安がささやかれていた時期なので今より悪いですが、とはいっても利上げは遅く、利下げが早いのが常なので、仮に2か月に1度0.25%ずつ下げても2020年9月には0.5%にはなってしまいます。およそ1年です

もし、もっと景気悪化の指標が出るともっと期間が短くなるかもしれません

過去に出ていた新型緩和 記事紹介③

 

FRB、新緩和策を検討へ 「長期金利に上限」案 6月に討論会、物価目標見直しも(写真=ロイター) :日本経済新聞

また、この記事は2019年3月27日の日経新聞ですが、FRBが今の金利は過去に比べると低いので新しい緩和策を検討しており、6月に討論会を開くとした記事です。

今みたいに悪くなるのが早いと思ってなかったようでまだ開かれていないようです。

しかし、もしかすると、2.5%が仮に7月利下げをスタートさせると、0金利になることも考えているのかもしれません。

為替と債券、株式の投資戦略

 

単純に考えれば為替円高です。ただ、毎年上下10円程度は為替は動くものなので105円程度から115円程度ならいつもと同じです。

100円といってもそんなに違和感ないでしょう。むしろ買ってもいいと思います。

注意しないといけないのが、株式と違って為替は1つの通貨を売れば必ずどこかの通貨に換えないといけない点です。

米ドルを手放したら次に大きな受け皿はユーロであり、次がイギリスポンド、日本円となります。

単純に金利が低いからと言って怒涛のようにドル資産がこれら3地域になだれ込んでいくとも思えないです。もはやこれらも金利がつかないので。

また、FRBが金融緩和を行うならECBやBOE、BOJが緩和も行うはずなので緩和合戦になりこう着状態になると思えます。

債券については米国の10年以上の残存の国債保有して債券価格の上昇を狙うのが一番堅いと思われます。格付けの高い社債でもいいと思います。

株式については投資資金の引き上げが顕著だと思われるので、小さい会社で成長が見込めるところは個別判断ですが、アマゾン、アップル、グーグル、フェイスブックマイクロソフトなどは指数として売られると思うので1度目の利下げの時に売却しておいたほうがいいと思います。

そして0.5%とか0%に近い水準にFF金利が到達した際には個別銘柄はともかく、S&P500や日経平均など指数投資を行う機会が到来すると思われます。

ここ10年の相場の転換点なので逃さず資産を増やすための投資を行いたいと思います。