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日々の投資手法研究66 #ファンドラップ
ラップ口座残高、最高8.8兆円:日本経済新聞
https://www.nomura.co.jp/retail/wrap/fundwrap/
記事のポイント
①日本投資顧問業協会は6日、投資家が金融機関に運用を任せる「ラップ口座」の契約残高が2018年度末で8兆8272億円だったと発表した
②18年度末の全体の契約件数は86万8092件と、前年度比21%増えた。伸び率は17年度の27%から縮小した。
③運用の手軽さから富裕層や高齢者などに人気が出て、残高は15年度までの5年間で約10倍に増えた。
感想
ファンドラップが過去最高残高のようです
日経新聞では富裕層や高齢者に人気とのことですが、商品性はどうでしょうか。
また、本当に人気なのか?も話したいと思います。
まず、ファンドラップとは文字通りファンドをひとまとめにラッピングした様な商品です。最初に意向を確認するシートに項目を選んでいきます。
そして五段階程度にリスクやリターンの意向が分類され、各分野のファンドの配分比率が決定されてポートフォリオの雛形が証券会社によって作成されます。
雛形は非常に綺麗にできており、各社によって違いはありますが、過去数十年分のリターンの結果から分析された将来のパフォーマンスを示したグラフが出来上がります。
もし、これを見ていいなと思えば契約ですし、違うなと思えば担当者と相談してやり直します。
今まで販売したい商品を売り込むだけだった証券会社にとっては顧客意向を確認しながら販売する数少ない試みと言えます。
手数料は?
では、手数料はどうなっているのでしょうか、最大手の野村證券のホームページでは以下の様に書かれています。
ファンドラップ手数料は最大で運用資産の1.296%(税込み・年率)となります。このほかに投資信託では運用管理費用(信託報酬) (最大で信託財産の1.35%±0.70%(概算)(税込み・年率))、信託財産留保額(最大で信託財産の0.5%)、その他費用をご負担いただきます。
コピペまんまですが、これによるとファンドラップ手数料と投資信託手数料で最大2.646%かかります。常に最大でなくても大体2%は最低でもかかる様です。
例えば1000万円の投資を行うとすると、初期の販売手数料がかからないけれど内側で20万円は支払っている事になります。
仮に毎年2%成長で進んだ場合、毎年20万円で、仮に5年だと100万円、10年だと200万円は払う事になります。
これはかなり高いと思えないでしょうか。
現在の米国の10年国債が2.1%の利回りであることを考えると個人的には取りすぎな印象です。
他に投資できる代替商品はあるのか?
完全に一致するものは無いですが、かなり近い運用は最近出てきたETFを活用すればできます。
まず、各投資信託にはベンチマークという投資信託自身が上回ることを目指している指標があります。
実際にファンドラップの詳細な資料には各投資信託のベンチマークがどれであるかが明示されてます。
お金の運用を任されたファンドマネジャーはこの指数を平均を上回れる様に努力します。ただ、現実はコストが投資信託にかかってしまうため8割の投資信託はベンチマークに負けてしまうという話もありますし、今まで運用成績が良かったからといって今後も勝ち続けるかはわかりません。
しかし、コストは必ずかかり続けてしまいます。
では、ベンチマークと同様の成績でいいのでコストが安い商品がないか?というのに応えてくれるのがETFです。
株式と同様に自由な売買ができて手数料は株式手数料と非常に低い信託報酬のみで運用されています。
ネット証券を使えば株式の売買手数料を限りなくゼロにできます。
例えば野村アセットが運営するコード1306TOPIX連動型上場投信の運用にかかる経費は0.11%です。
約1/20の経費率です。
1000万円の投資ならば20万円なのか1万円程度なのかの違いがあります。
もちろん全てを日本株で運用するわけではないので他の資産も組み込まないといけないのですが総じて経費は安いです。
基本的には資産は日本株、外国株、国内債券、海外債券、不動産REIT等で殆どカバーできます。
ならば少しだけ勉強して自分なりの組み合わせを考えるだけで大幅にコストが変わるのでご自身で取り組む努力が一番です。
また、記事には富裕層や高齢者に人気とありますが、少なくとも私が各社でファンドラップ取引をしている方で喜んで購入している人は余り見かけません。
他に損をしている金融商品より組み合わせ効果で損が少ないコトを喜ぶ程度です。
販売に力を入れた結果伸びたというのが実態だと思います。
ラップをよりも株マニア的なファンドマネジャーの投信を直接買うか、ETFで自分なりの組み合わせ運用を行うか、個別債券や株を買うか選択肢は沢山あります。
証券会社の業績にわざわざ寄与しなくても良いと思います。
日々の投資手法研究65 #地方銀行 #フィンテック
地銀再編、10年で集中支援 成長戦略案 法改正20年めど 70歳雇用、努力義務化 :日本経済新聞
記事で一番気になったところが
「金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックでは、銀行以外の企業の参入を想定する。ネット通販サービスの決済などの一環で、現状より多くの金額の送金を手がけられるようにする。」
のところです。
現在株式市場で地方銀行で上場している企業は78社あります。
時価総額を四季報オンラインで検索したところ、最大はコンコルディアHDの5200億円がありますが、1000億円未満にすると54件に減り、500億円未満にすると35件、100億円未満だと8件となります。
ここで気になるのが地方銀行の編成は金融庁が認めるかどうかなので実際は簡単に買収できませんが、8件の時価総額100億円未満の地方銀行です。
銘柄コード | 銘柄名 | 時価総額(億円) | PBR | 配当利回り(%) | ROE(%) | 従業員数 | 資金量(億円) |
7150 | 島根銀行 | 40 | 0.22 | 2.76 | 2.1 | 376 | 3700 |
8416 | 高知銀行 | 76 | 0.13 | 3.4 | 1.4 | 866 | 9660 |
8540 | 福岡中央銀行 | 95 | 0.33 | 1.43 | 1.7 | 481 | 4872 |
8554 | 南日本銀行 | 94 | 0.34 | 4.2 | 1.8 | 681 | 7601 |
8559 | 豊和銀行 | 40 | 1.08 | 1.4 | 3.6 | 534 | 5421 |
8560 | 宮崎太陽銀行 | 70 | 0.21 | 3.8 | 2.3 | 641 | 6499 |
8562 | 福島銀行 | 62 | 0.21 | 0.76 | 1.9 | 522 | 6907 |
8563 | 大東銀行 | 74 | 0.18 | 5.13 | 3 | 547 | 7633 |
合計、平均 | 551 | 0.3375 | 2.86 | 2.225 | 4648 | 52293 |
これでみると、8行で551億円の時価総額なのに資金量は5.2兆円とかなりボリュームがあることがわかります。
もちろん最大手の三菱UFJは220兆円、三井住友131兆円、みずほ135兆円なのでメガバンクと比較したら規模が違いすぎますが、世界相手の銀行と地方の銀行では役割が違います。
個人周りだったり、中小企業の支援だったりと我々にも身近なところでかつて稼いできた銀行です。
それが、ROE2%程度と低迷しているのはマイナス金利政策の影響で総資金利ザヤが0.1-0.3%程度に落ち込み、本業が消滅した中、投資信託や保険販売などでしのいできたからです。
しかし、新しい動きもあります。
9928ミロク情報サービス 経営課題を解決するクラウドサービス立ち上げ
とか、2019年5月29日の日経産業新聞の記事ですが
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO45378850Y9A520C1X11000/
中小へ融資、AI審査
クラウド会計ソフトで蓄積した銀行などの明細データを人工知能(AI)に学習させ、企業の与信を審査する。銀行からの借り入れが難しかったり、審査に時間がかかったりする中小企業が迅速に運転資金を確保できるようにした
とあります。
この企業は3994マネーフォワードです
今の報道は既存の銀行VS新興企業の書き方が多いです。
それだと、新しい企業はシステムも新しく、人件費も少ないのでコストが安くサービスを提供できるので有利です。
既存の銀行は金利が低くなった上に地方の衰退で貸先が減り、余った預金を有価証券投資に回したり、行員を使って投資信託販売などに乗り出しましたが、有価証券の損失が目立ったり、投資信託手数料の低減の波が押し寄せ、困っています。
このままだと・・・という論調なのですが、ここは単純に規模を大きくすればいいというものでもないと思います。
今までのやり方なら統合して重複店舗を削減し、人員削減を行えば利益が出ました。
しかし、現在メガバンクでさえローンの貸し出しに困っており、海外でなんとか収益を上げている状況なので合併してスリム化したところで同じことの繰り返しになってしまい、日本の銀行はほとんどなくなってしまうと思います。
また、統合は店舗の減少を招くので、人と人でつながっていた担当者と顧客の関係も地方銀行はきめ細やかにやっていただけに切れてしまうリスクもあります。
統合しても効果が出ない恐れすらあります。
そこで新興企業が既存銀行を買収するとか合併するという所が出てもいいと思います。
金融庁も考えを変えてもいいのではと思います。
ちなみに記事に出した3994マネーフォワードの時価総額は810億円で8行合計を上回ります。
9928ミロク情報サービスも1160億円と8行全てを2回買える時価総額です。
新興企業はシステムやサービスは素晴らしくても顧客基盤がありません。
既存企業は全く逆で顧客基盤を生かせてません。
マネーフォワードのような銀行が貸せない先を貸せるようにするシステムを地方銀行の蓄積された顧客データと結びつければもっと資金需要を掘り起こせる可能性が出てくると思われます。
また、往々にして地方銀行は地方官僚的な組織文化なので新規事業など目に見えないことに対してわかろうとする感覚がないため目に見える不動産などにしか価値を見出してこなかったことが資金需要の減退をおこし、現在の苦境を招いています。
しかし、地方であっても新しいサービスや事業を起こせる余地はたくさんありますし、新興企業と組むことによって違う角度からの企業掘り起こし、起業支援はできると思います。
最近のインバウンド消費などよい例です、東京や大阪から人が来て会社を設立しているケースも多く、それでは地元金融機関には恩恵は余りありません。
地方発の企業を起こし、支援する体制をとってもらいたいものです。
規模拡大もいいですが、プライドを捨てて、新興企業の傘下に入り、データを生かすことで業績を改善できる余地に早く気付いてほしいです。
そうなると、資金量5兆円で時価総額がたった550億円なんてとんでもない数字にはならないと思います。
規制が多い業種ですが、少し変わるだけでお宝銘柄になれる可能性に気付いてほしいものです。
日々の投資手法研究64 #FRB #利下げ
記事紹介①
2019年6月5日日経新聞
FRB強まる利下げ観測 パウエル議長「適切に行動」 貿易戦争激化で景気減速に先手 :日本経済新聞
①パウエル議長は4日の講演で貿易戦争の激化に懸念を示し、「景気拡大を持続させるため適切に行動する」と述べた
②早期利下げ観測に火を付けたのは、セントルイス連銀のブラード総裁で講演会で近く利下げを行う可能性に言及
③年内に0.25%の利下げに踏み切る可能性を98%の確率で織り込んだ。9月までに0.5%利下げするとの予測も49%に達する
④主要中銀の緩和競争が再燃する可能性もある
感想
過去の記事と比べてみたうえで、もし、仮に7月31から利下げを行うとなるとどのくらいのスピードでどのくらいの幅で利下げが行われるか考えてみました。
比較になる記事が
記事紹介②
利上げ停止、来年か20年か FRB割れる 2副議長「早期に」 トランプ氏の批判も背景 :日本経済新聞
2018年11月10日の日経新聞です
この時はまだ株価も上昇基調で今みたいに利下げをいうことはなく、利上げをどこで止めるかが大きなテーマでした。
「計画では3.5%までの利上げ」という一文が印象的です。
まず、今回が利上げの天井となると、2015年12月に0%から0.25%のFF金利の誘導目標を0.25%から0.5%に引き上げがスタートで、9回実施し、直近の最後が2018年12月19日で、現在は2.25%から2.5%目標です。
このときのFRBの見通しは2019年は2回程度、2020年も1回は利上げを行い、3.25%位が打ち止めかといわれていて、米国債が売られて金利が上昇していました。
2018年末の証券会社各社のレポートも2019年は利上げが2回なのか1回なのかで騒がれており、利下げの言及をしているレポートはなかったと記憶しています。
今回いつに利下げが始まるかはまだ議論の余地がありますし、米中の貿易戦争や米国景気の状態によっていろいろ変わると思いますが、単純に過去の幅や期間を見て目安を立ててみました。
過去の利下げ局面の利幅と率及び期間
日経新聞の記事からだと1990年以降で利下げ局面は3回あり、
1990年10月に8%から7.75%に下げたのをスタートに1992年9月に3%へ
2年で5%、62.5%の利下げ幅でした
その後次の利下げは2001年1月で6.5%を5.5%に下げてから2003年6月に1%へ
2年半で5.5%、85%の利下げ幅でした
直近最後が2007年9月で5.25%を4.75%に下げてから2008年12月には0.25%へ
1年3か月で5%、95%の下げ幅でした
今回は利上げが2015年12月に0.25%を0.5%にしてから2018年12月に2.5%まで3年かけて利上げしてからの利下げですので水準がかなり低いところからの発射となります。
少なくとも率でみると8割は下げそうですので2%下げて0.5%は最低でもなりそうです。
また、期間はスタート時の金利がそれぞれ違うのですが、2%下がるのに要した期間は
1990年10月8%からスタートして1991年3月には6%とたった半年です
2001年1月6.5%からスタートして2001年4月には4.5%とこれは3か月
2007年9月5.25%からスタートして2008年1月には3%とこれも4か月と短いです
2001年はネットバブル崩壊、2008年はリーマンショック前の大手金融機関の経営不安がささやかれていた時期なので今より悪いですが、とはいっても利上げは遅く、利下げが早いのが常なので、仮に2か月に1度0.25%ずつ下げても2020年9月には0.5%にはなってしまいます。およそ1年です。
もし、もっと景気悪化の指標が出るともっと期間が短くなるかもしれません。
過去に出ていた新型緩和 記事紹介③
FRB、新緩和策を検討へ 「長期金利に上限」案 6月に討論会、物価目標見直しも(写真=ロイター) :日本経済新聞
また、この記事は2019年3月27日の日経新聞ですが、FRBが今の金利は過去に比べると低いので新しい緩和策を検討しており、6月に討論会を開くとした記事です。
今みたいに悪くなるのが早いと思ってなかったようでまだ開かれていないようです。
しかし、もしかすると、2.5%が仮に7月利下げをスタートさせると、0金利になることも考えているのかもしれません。
為替と債券、株式の投資戦略
単純に考えれば為替は円高です。ただ、毎年上下10円程度は為替は動くものなので105円程度から115円程度ならいつもと同じです。
100円といってもそんなに違和感ないでしょう。むしろ買ってもいいと思います。
注意しないといけないのが、株式と違って為替は1つの通貨を売れば必ずどこかの通貨に換えないといけない点です。
米ドルを手放したら次に大きな受け皿はユーロであり、次がイギリスポンド、日本円となります。
単純に金利が低いからと言って怒涛のようにドル資産がこれら3地域になだれ込んでいくとも思えないです。もはやこれらも金利がつかないので。
また、FRBが金融緩和を行うならECBやBOE、BOJが緩和も行うはずなので緩和合戦になりこう着状態になると思えます。
債券については米国の10年以上の残存の国債を保有して債券価格の上昇を狙うのが一番堅いと思われます。格付けの高い社債でもいいと思います。
株式については投資資金の引き上げが顕著だと思われるので、小さい会社で成長が見込めるところは個別判断ですが、アマゾン、アップル、グーグル、フェイスブック、マイクロソフトなどは指数として売られると思うので1度目の利下げの時に売却しておいたほうがいいと思います。
そして0.5%とか0%に近い水準にFF金利が到達した際には個別銘柄はともかく、S&P500や日経平均など指数投資を行う機会が到来すると思われます。
ここ10年の相場の転換点なので逃さず資産を増やすための投資を行いたいと思います。
日々の投資手法研究63 #MMT #現代貨幣理論
新聞記事
(経済教室)現代貨幣理論MMTを問う(上)目新しい主張、軒並み不正確 ウィレム・ブイター シティグループ特別経済顧問 キャサリン・マン シティグループチーフエコノミスト :日本経済新聞
<ポイント>
○現代の国際経済下では成り立たぬ主張も
○ハイパーインフレ誘発なら多大なコスト
○日本も流動性のわな脱せばインフレ懸念
Willem Buiter 49年生まれ。エール大博士(経済学)。元イングランド銀行金融政策委員
Catherine L. Mann MIT博士(経済学)。OECDチーフエコノミストなどを歴任
(経済教室)現代貨幣理論MMTを問う(下)政策の枠組み、日本と相違 宮尾龍蔵・東京大学教授 :日本経済新聞
<ポイント>
○伝統的なケインズ経済学と多くの共通点
○政府・中銀、財政均衡や物価安定目指さず
○日銀は金融緩和策を財政に従属せず実施
みやお・りゅうぞう 64年生まれ。ハーバード大博士。専門はマクロ金融。元日銀政策委員会審議委員
感想
現代貨幣理論(MMT)自体はそれほど古い考え方ではないようです。
確かに、20年位前は緩和しても皆がお金を使わないと効果がないから政府の財政出動で景気を刺激しないといけないという論調が強まって平成の初期に日本も補正予算を大々的に組んで景気刺激策を取ってました。
私は経済の専門家ではないので詳しいところを議論するつもりはないですが、大体の理解となぜ、こんなに世の中が賛成、反対になっているのか、また、結果として失敗したときにどのような資産を保有するべきなのかについて考えてみました。
まず、記事の(上)には
MMTの基本的な前提は独自の不換通貨を持ち、公的債務(国債)の大半が自国通貨建てで、かつ為替が変動相場制をとる主権国家は決して破綻しないというものだ
財政支出を停止しなければならないのはインフレが行き過ぎた場合だけで、現時点で低インフレのほとんどの先進国は財政支出を控える必要はない
とあります。
しかし、反論としては
財政ファイナンスがハイパーインフレを誘発すれば、デフォルト以上に多大なコストが生じかねないことを無視している
とあり、お金の使いすぎが行き過ぎた時にハイパーインフレが起これば国民生活が破壊されるリスクを伴うことが一番大きい要因と書いてあります。
また、現在の状況は
ELBと長期的な流動性のわなが併存する現状は特異な経済環境(つまり、これ以上金利は下がりようがない状況で、どんなに中央銀行が金融緩和しても消費や投資が盛り上がらない状況)
としており、たまたま今がMMTが成立する特殊な時代だとしています。
記事の(下)では
提唱者のステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授が「日本はMMTを実践してきた」
と言うが、筆者は明確に否定
理由は、物価安定を目標として金融政策運営を行うのが中央銀行であり、政府とは独立した運営を行ってきている。MMT理論では政府が財政支出を行う上で資金供給を行う従属的な立場を取るので、日本はそもそも形は似ていても理念がまったく違うので当てはまらない。
やはり怖いのが
景気過熱や高インフレが懸念されれば、増税により抑え込むとMMT論者は主張する。しかしただでさえ増税は不人気であり、合意形成に時間がかかる。機動的かつ十分な増税ができなければインフレが高進し、「インフレ税」により人々の生活は圧迫される
とあり、お金の使いすぎを止める手立てを簡単に現実には実施できないことを書いております。
議論の一番のポイントと思われる箇所
既存の学派(新古典派やケインズ学派)は財政は長期的に均衡することを前提にしているがMMT理論は均衡を放棄している
インフレを起こした後に抑える方法があると見るか、無いと見るか
だと理解します。
なぜこんな議論が巻き起こってきたのか?
個人的にはついにここまで来たかと思ってます。
これは、今の世の中の閉塞感、実感の無い景気回復が原因で、何か新しい助けてもらえる方法を人々が求めているからだと思います。
また、政治家から見ても短期的にはとてもおいしい理屈です。
支出に際限が無いというなら減税やったり、公共投資やったり、補助金出したりとばら撒きし放題なので、たぶん解禁したらとんでもない短期的バブル景気が来ると思います。
個人的に思う不安
政府が自国通貨で国債を発行して中央銀行が買い支える仕組みは戦前、戦中の日本が既にやってました。
高橋是清大蔵大臣の時代です。
確かに文献だと、当初はうまく言ったようです。景気は回復しましたが、軍備増強に当てるため、結果として満州事変を引き起こし、国内がインフレ気味になってきたため財政支出を止めようとしたら軍部ににらまれ、2.26事件で撃たれる所までいってしまい、その後止める手立てを失った日本は軍備拡張、戦争へと突き進んでいきました。
今は戦争は無いと思いたいですが、それでもインフレが高まってきたときに選挙に落ちる政策を政治家が打つのか?というのは私も疑問です。
でも何か解決策ないか考えてみました
といっても、緩和をどれだけやってもだめだったのも事実なので、ある程度期限を切って大規模な補正予算を組む必要はありそうです。
たとえば「社会保障費のここ30年分とかを一気に発行して年金基金に組み込んで運用させる、その代わり、社会保障費をこれ以上増やさない」
「老朽化した公共設備を更新するための予算を10年分とかを一気に確保する」
とかだと思います。
何が今一番不安かというと、若い人が年を取った人を養う負担がどんどん大きくなって、自分たちが年をとったときに年金が消滅していることです。
なのでお金を使いたくありませんし、社会保険料も納めたくないのが本音です。
見ず知らずの他人を養うために徴収されるならば、自分でその分を貯めたほうがよほどましだと考えているからです。
毎年毎年今度こそ大丈夫、といい続ける政府に対してもう信用ができないという気持ちが蔓延しているから「将来どうなるかなんてわからないから今お金を使ってしまえ」となっている訳です。
資産運用として
現状の枠組みだと考えられる手段は少ないですが、一番怖いのがハイパーインフレです。
日本が最初に起こる場合とアメリカや他の国で起こる場合が考えられます。
恐らく、昔から考えると、
「金」「不動産」「株式」「外貨」なんだと思います。
金はできれば現物で、不動産は都会というより農地が本当はいいと思います(物を買えないなら自分で育てる)。
株式は個別はどれが生き残るか不明なので世界株インデックスを保有することだと思います。
自身あればグローバル企業を10-20銘柄保有でもいいと思います。
外貨についてはこれも米ドルを保有することだと思います。
結局は全体を100とすると、円資産25:不動産25:外貨25:金や株式25といったところでしょうか。
これについては実はまだ研究段階で、過去の日本の実例や海外の実例を昔の恩師に聞いたりして研究中です。
今後もアップデートしていきます。
No.20 #お金の教養 #泉正人 #だいわ文庫
今回は少し株式やインデックス投資から離れてお金の講義本です。
著者紹介
泉正人さん
日本ファイナンシャルアカデミー代表。金融学習協会理事長。神戸夙川学院大学客員教授。ファイナンシャルアカデミーを2002年に設立。10年間で20万人を超える人々を教えるスクールに成長させる。
とお金に関する教育事業に携わる方です。
この書籍はファイナンシャルアカデミーの講義を受けるときに配られる本でもあるそうです。
目次
はじめに
第1章 お金についての考え方
第2章 お金の貯め方
第3章 お金の使い方(小さなお金編)
第3章 お金の使い方(大きなお金編)
第4章 お金の稼ぎ方
第5章 お金の増やし方
第6章 お金の維持管理
第7章 お金を与えること
おわりに
となっています。
本書の一部紹介と印象に残った個所
私も金融機関で運用について話すことは多いものの、お客様は事業家であったり、不動産オーナーであったりと資産がある方に話をするところからスタートするのでお金に関してどの様に付き合うか、どのように貯めるのかというポイントが抜けているのではないかと感じて読みました。
特に印象的な個所を抜き出して紹介いたします。
まず、「はじめに」では、お金に関する一般的に皆が持つ不安が列挙されています。
泉さんも就職直後に年収が200万円で苦労していたところ、転職後に400万円に増え、身の丈を超える生活をしてしまったがために親から借りてついには親からの資金援助も途絶えることを経験されているそうです。
そこで「お金の教養」を身に付けなければならない!と強く感じて勉強スタートされたそうです。
第1章では収入と支出について考え方が書かれています。
特に印象的なのが「年収3000万円でもなぜかお金が貯まらない本当の理由」にある
「お金を稼ぐ能力と、お金を維持管理する能力は、全く別の能力です。」
という一文です。
確かに・・・と自分に置き換えると、年収が上がったら上がった以上に使ってきた記憶がよみがえります。
独身時代は給料日前は大体厳しく、まとまったお金が入ると大きな車を購入したりしていました。
お金の維持管理する能力・・・もっと早く気づいていればと思います。
いくら稼いでも稼いだと同じかそれ以上の金額を使えば単純に無くなりますよね。
また、これらお金に関する学習をする上で
「お金は汚い」という幻想を取り払おう
とあり、日本にありがちなお金は不浄であるという考えを取り払って学ぶことの大切さを教えています。
これは私も金融機関にいて感じることです。
「お金は汚い」「お金は魔物」「お金を考えることは意地汚い」「汗水たらして稼ぐのが本当でお金がお金を産んだ結果の利益は不要なもの」と今まで色々な投資をしている方と接している私でも沢山聞いてきました。
しかし、ならば本当に明日から全くお金が無くなってもいいのか?と言うと皆さん困ると思います。
お金は確かに所詮「交換手段」であり、使わないで家に置いておくだけならば何の役にも立ちません。また、お金を稼ぐことだけが人生の目的になるのも私はどうかな?と思っています。
しかし、基本的なお金のこともわからずに遠ざけている姿は、理解できないことを理解しようとしない逃げに見えますし、ずる賢い人に簡単に騙されてしまう原因の一つにもなっています。
幻想は不要です。
第2章のお金の貯め方 では収入の2割を貯めるなど、仕組みを作ることを訴えています。
ここでも印象的なのが「貯蓄へのマイナスイメージを払拭する」です。
安心材料を持つために貯蓄をすることがため込んでいるマイナスイメージで捉えるのが日本人の悪い癖で、これも意識を変える必要があると説いています。
江戸っ子は宵越しの金は持たねぇ!なんて言っていると老後困ります。
第3章お金の使い方(小さなお金編)
では何が「浪費」で何が「投資」か考えようとあり、普段使うお金を何も考えないで使うのではなく、
払う以上価値があるものは「投資」、同等を「消費」、払う以下の価値のものを「浪費」と分ける考え方を紹介しています。
また、お金だけでなく、時間も同様でこれを気を付けているだけでお金も時間も豊かなものに変わるとしています。
第3章お金の使い方(大きなお金編)
ここでは一番考えさせられたのがマイホームを買うのか、賃貸なのかの基準です。
2つの基準が示されています。
①物件価格は家賃の200倍以内か
②30年後でも資産価値があるか
これはマイホームを不動産の利回り、つまり、貸し手から見た基準です。
確かに不動産投資を行う場合は利回り〇%と考えますが、マイホームや賃貸で自分が借りる時はスコンと抜けます。
月家賃の200倍というのは利回り6%の基準で、不動産投資を行う際にこの程度は欲しいという利回りで逆算した結果です。
と、なると今の日本の割と便利な所のマンションや住宅は少し割高な気がします。
また、これに加えて30年後も資産価値がどのくらい残りそうかを考えて2つの基準を合わせて購入するかどうかを検討するというわけです。
つまり、30年後に5000万円で購入したマンションが3750万円の価値が残っているならば5000万円の支払い終了後に1250万円のコストで手に入れたと同義で、月に直す3.4万円しか住むのに払っていないことになります。
一方で安いからと言って4000万円で購入し、30年後に1480万円に価値が低下していたら2520万円のコストを支払っており、毎月7万円のコストを払うことになり、価格が安いにも関わらず、実際の支払いは高いという結果になってしまう考え方です。
中々30年後の資産価値がいくら?と想像することは難しそうですが、買うべきか、買わざるべきかの判断として重要です。
そう考えると、私の過去のお客様で不動産を利回りが第一ですが、次に資産価値を想像した上で利回りが妥当かどうか考え、決して高くない利回りの物件を購入する方も多かったです。
しっかりと知識が身についているため自然とこの2つの判断ができるようになっていたのだと思われます。
第5章に飛びますが、「お金の増やし方 」についても書かれています。
しっかりと経済を学び、世の中のうねりを感じ、リスクをとった上で行う資産運用だけが、私たちの助けになってくれるのです。
という一文は完全に同じことを考えてます。
すぐ何が儲かるか、と手っ取り早く教えてくれそうな情報を買ってばかりいる人はまったく儲かりません。世の中は情報は買うより売る人が儲かるようにできていると私は思ってます。
本当のリスクは自分自身にある とも書かれており、投資をするスキルがないのに投資を行うのは運転技術がないのにいきなりF1レーサーの車を運転するようなものであるとかかれております。
第6章でとても印象的なのはお金を増やすステップが図で明確に書かれているところでした。
1.収入以上のお金を使わない
2.収入の二割を貯金する
3.収入の二割を自己投資に充てる
4.収入を増やす
5.運用でお金に働いてもらう
6.お金を正しく維持管理する
とこのステップを踏むことで不安のない生活を送れるとあり、よく読んでみるとほんとに普通のことなんですが、実際にできているのか?と考えるとできていない人が多いような気がします。
これらの知識を一つ一つ教えるために泉さんはファイナンシャルアカデミーを創業なさったそうです。
まとめ
本に書いてある一つ一つはとても基本的なことです。
しかし、これらを体系だって教えてくれる書籍や場所は非常に世の中に少ないです。
また、お金のことを相談すると謳っている場所が実は金融商品を売りつけるための場所であったり、およそ役に立たない知識を高いお金で売りつける場所だったりすることが多いのが実態です。
今までは日本はまだ昭和の終わり位から平成の半ばくらいまでは余裕があったように思えます。
しかし、平成の後半は若い人は収入が減り、海外との所得差が目立つようになりました。
最近海外の人が日本にたくさんやってきて「爆買い」なんて言葉も出てきました。
これ自体が悪いことではないし、日本の魅力を感じてやってきてくれている人も数多くいます。が、日本が中国や韓国等アジアの諸外国に比べて物価が安くなってきたりしていることも大きな原因です。
昔は日本人が海外で安いからといって物を買いに出ることが多かったですが、もはや海外の人から見て安い買い物ができる国と立場が逆転しています。
これら全てお金について運用で海外の成長を取り込んだりして増やす努力をしなかったことにあると思います。
運用成果と労働の対価の賃金に差はありません、運用成果も成果を得るための努力あってのことです。
金融知識を身につけないでお金を働かせていないということは「なまけている人」だと考えます。
それを気づかせてくれる本だと感じました。
日々の投資手法研究62 #フィンテック #金融
世界決算ランキング(1) 金融、IT融合で稼ぎ頭:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO45393400Y9A520C1EA5000/
①世界の130の国と地域で金融業が利益の一番大きな稼ぎ頭
②新興国始め海外では旺盛な資金需要と金融とIT技術を融合したフィンテック技術で利益を増やしている
③2018年スペインではサンタンデール銀行が首位、2015年から比較するとスマホやPCで同行を利用する顧客が倍増、今や3200万人
④新興国の農村部では今まで金融口座を持てなかった人が多かったがスマホで保有し、データも蓄積され、融資も可能に
感想
日本だと銀行、証券が叩かれてますが、海外では新しい技術を利用して業績を伸ばしている金融機関があります。
グラフによると各国の一番企業で金融が占める割合は増えており、やり方次第で改善できる事が分かります。
スペインのサンタンデール銀行はかつて不良債権で経営が悪化していました。
今や1兆円近く純利益を稼ぎます。
イギリスのHSBCも1.4兆円の利益、ここはイギリスに本拠地はありますが、香港が事実上の本拠地なのでアジアの新興国需要をうまく取り込んでいるのかもしれません。
日本の金融機関も都銀は海外進出が目立ちます。
フィンテックを活用して新しいサービスを提供する企業を四季報オンラインで検索してみました。
フィンテックをキーワードにすると38件該当しました。
まだ勝組はわかりにくいですが、
8473 SBIホールディングスはネット証券大手で順調に業績拡大
9928ミロク情報サービスは会計ソフト開発企業ですが、銀行、信金と提携し、中小企業の経営支援に乗り出してます
変わったところでは
8252丸井グループ、売上の45%がフィンテック関連と書いてあり、元々質屋さんからカード会社、今度は証券部門と変わり身の早さを感じます
銀行で上がってきたのが
最近の金融はだめだとかの報道にやや違和感を感じてます。変えればとても儲かります。
今までは金融業を行うのに堅牢なシステムを用意し、人を揃え、融資や投資を促す必要があり、新しい会社が立ち上げてすぐにできるわけは無く、膨大な資金が無いと難しい商売でした。
ただ、今はネットにおける技術の発達により、あらゆる会社ができるようになりつつあります。
ここで感じるのは新興企業と既存企業のお互い持って無いモノを早く融合させた所が勝組になれそうな所です。
新興企業は技術は持っていても顧客がいません。
SBIにしても13兆円程度と野村證券110兆円にまだまだです。口座数は420万で野村の550万に近いです。
若い人は数多くいますが資産が無く、これから既存大手からの相続などで資産の移転があれば変わりそうです。
既存企業は顧客が沢山いて、従業員も沢山います。
ただ、活用が出来てないのと今までコンサルティングでは無く、販売に注力してきたため顧客の気持ちが離れてるのが問題です。
従業員の再教育も必要です。
元々は就職ランキング上位企業なので人材は豊富なはずで、経営が気づかずに環境を整備してこなかったので従業員はわかってない訳で潜在能力は高い人が多いです。
いっそ野村とSBIが会社が協力してSBI主導で新しい証券会社を立ち上げたら?なんて思います。
トヨタもソフトバンクと提携したように新しい時代には新しいやり方があります。
いち早く新興企業と手を組んだところが勝つように思えます。
また、手を組むなら新興企業側が強い立場で入る事が必須です。
とかです。