現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究63 #MMT #現代貨幣理論

 

 

新聞記事

 

(経済教室)現代貨幣理論MMTを問う(上)目新しい主張、軒並み不正確 ウィレム・ブイター シティグループ特別経済顧問 キャサリン・マン シティグループチーフエコノミスト :日本経済新聞

<ポイント>

○現代の国際経済下では成り立たぬ主張も
ハイパーインフレ誘発なら多大なコスト
○日本も流動性のわな脱せばインフレ懸念

Willem Buiter 49年生まれ。エール大博士(経済学)。元イングランド銀行金融政策委員

Catherine L. Mann MIT博士(経済学)。OECDチーフエコノミストなどを歴任

(経済教室)現代貨幣理論MMTを問う(下)政策の枠組み、日本と相違 宮尾龍蔵・東京大学教授 :日本経済新聞

<ポイント>
○伝統的なケインズ経済学と多くの共通点
○政府・中銀、財政均衡や物価安定目指さず
○日銀は金融緩和策を財政に従属せず実施

みやお・りゅうぞう 64年生まれ。ハーバード大博士。専門はマクロ金融。元日銀政策委員会審議委員

 

感想

現代貨幣理論(MMT)自体はそれほど古い考え方ではないようです。

確かに、20年位前は緩和しても皆がお金を使わないと効果がないから政府の財政出動で景気を刺激しないといけないという論調が強まって平成の初期に日本も補正予算を大々的に組んで景気刺激策を取ってました。

私は経済の専門家ではないので詳しいところを議論するつもりはないですが、大体の理解となぜ、こんなに世の中が賛成、反対になっているのか、また、結果として失敗したときにどのような資産を保有するべきなのかについて考えてみました。

まず、記事の(上)には

MMTの基本的な前提は独自の不換通貨を持ち、公的債務(国債)の大半が自国通貨建てで、かつ為替が変動相場制をとる主権国家は決して破綻しないというものだ

財政支出を停止しなければならないのはインフレが行き過ぎた場合だけで、現時点で低インフレのほとんどの先進国は財政支出を控える必要はない

とあります。

しかし、反論としては

財政ファイナンスハイパーインフレを誘発すれば、デフォルト以上に多大なコストが生じかねないことを無視している

とあり、お金の使いすぎが行き過ぎた時にハイパーインフレが起これば国民生活が破壊されるリスクを伴うことが一番大きい要因と書いてあります。

また、現在の状況は

ELBと長期的な流動性のわなが併存する現状は特異な経済環境(つまり、これ以上金利は下がりようがない状況で、どんなに中央銀行が金融緩和しても消費や投資が盛り上がらない状況)

としており、たまたま今がMMTが成立する特殊な時代だとしています。

記事の(下)では

提唱者のステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授が「日本はMMTを実践してきた」

と言うが、筆者は明確に否定

理由は、物価安定を目標として金融政策運営を行うのが中央銀行であり、政府とは独立した運営を行ってきている。MMT理論では政府が財政支出を行う上で資金供給を行う従属的な立場を取るので、日本はそもそも形は似ていても理念がまったく違うので当てはまらない。

やはり怖いのが

景気過熱や高インフレが懸念されれば、増税により抑え込むとMMT論者は主張する。しかしただでさえ増税は不人気であり、合意形成に時間がかかる。機動的かつ十分な増税ができなければインフレが高進し、「インフレ税」により人々の生活は圧迫される

とあり、お金の使いすぎを止める手立てを簡単に現実には実施できないことを書いております。

議論の一番のポイントと思われる箇所

既存の学派(新古典派ケインズ学派)は財政は長期的に均衡することを前提にしているがMMT理論は均衡を放棄している

インフレを起こした後に抑える方法があると見るか、無いと見るか

だと理解します。

なぜこんな議論が巻き起こってきたのか?

個人的にはついにここまで来たかと思ってます。

これは、今の世の中の閉塞感、実感の無い景気回復が原因で、何か新しい助けてもらえる方法を人々が求めているからだと思います。

また、政治家から見ても短期的にはとてもおいしい理屈です。

支出に際限が無いというなら減税やったり、公共投資やったり、補助金出したりとばら撒きし放題なので、たぶん解禁したらとんでもない短期的バブル景気が来ると思います。

個人的に思う不安

 

政府が自国通貨で国債を発行して中央銀行が買い支える仕組みは戦前、戦中の日本が既にやってました。

高橋是清大蔵大臣の時代です。

確かに文献だと、当初はうまく言ったようです。景気は回復しましたが、軍備増強に当てるため、結果として満州事変を引き起こし、国内がインフレ気味になってきたため財政支出を止めようとしたら軍部ににらまれ、2.26事件で撃たれる所までいってしまい、その後止める手立てを失った日本は軍備拡張、戦争へと突き進んでいきました。

今は戦争は無いと思いたいですが、それでもインフレが高まってきたときに選挙に落ちる政策を政治家が打つのか?というのは私も疑問です。

でも何か解決策ないか考えてみました

 

といっても、緩和をどれだけやってもだめだったのも事実なので、ある程度期限を切って大規模な補正予算を組む必要はありそうです。

たとえば社会保障費のここ30年分とかを一気に発行して年金基金に組み込んで運用させる、その代わり、社会保障費をこれ以上増やさない」

「老朽化した公共設備を更新するための予算を10年分とかを一気に確保する」

とかだと思います。

何が今一番不安かというと、若い人が年を取った人を養う負担がどんどん大きくなって、自分たちが年をとったときに年金が消滅していることです。

なのでお金を使いたくありませんし、社会保険料も納めたくないのが本音です。

見ず知らずの他人を養うために徴収されるならば、自分でその分を貯めたほうがよほどましだと考えているからです。

毎年毎年今度こそ大丈夫、といい続ける政府に対してもう信用ができないという気持ちが蔓延しているから「将来どうなるかなんてわからないから今お金を使ってしまえ」となっている訳です。

資産運用として

 

現状の枠組みだと考えられる手段は少ないですが、一番怖いのがハイパーインフレです。

日本が最初に起こる場合とアメリカや他の国で起こる場合が考えられます。

恐らく、昔から考えると、

「金」「不動産」「株式」「外貨」なんだと思います。

金はできれば現物で、不動産は都会というより農地が本当はいいと思います(物を買えないなら自分で育てる)。

株式は個別はどれが生き残るか不明なので世界株インデックスを保有することだと思います。

自身あればグローバル企業を10-20銘柄保有でもいいと思います。

外貨についてはこれも米ドルを保有することだと思います。

結局は全体を100とすると、円資産25:不動産25:外貨25:金や株式25といったところでしょうか。

これについては実はまだ研究段階で、過去の日本の実例や海外の実例を昔の恩師に聞いたりして研究中です。

今後もアップデートしていきます。