現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究66 #ファンドラップ

ラップ口座残高、最高8.8兆円:日本経済新聞

https://www.nomura.co.jp/retail/wrap/fundwrap/

 

記事のポイント

①日本投資顧問業協会は6日、投資家が金融機関に運用を任せる「ラップ口座」の契約残高が2018年度末で8兆8272億円だったと発表した

②18年度末の全体の契約件数は86万8092件と、前年度比21%増えた。伸び率は17年度の27%から縮小した。

③運用の手軽さから富裕層や高齢者などに人気が出て、残高は15年度までの5年間で約10倍に増えた。

感想

ファンドラップが過去最高残高のようです

日経新聞では富裕層や高齢者に人気とのことですが、商品性はどうでしょうか。

また、本当に人気なのか?も話したいと思います。

 

まず、ファンドラップとは文字通りファンドをひとまとめにラッピングした様な商品です。最初に意向を確認するシートに項目を選んでいきます。

そして五段階程度にリスクやリターンの意向が分類され、各分野のファンドの配分比率が決定されてポートフォリオの雛形が証券会社によって作成されます。

雛形は非常に綺麗にできており、各社によって違いはありますが、過去数十年分のリターンの結果から分析された将来のパフォーマンスを示したグラフが出来上がります。

もし、これを見ていいなと思えば契約ですし、違うなと思えば担当者と相談してやり直します。

今まで販売したい商品を売り込むだけだった証券会社にとっては顧客意向を確認しながら販売する数少ない試みと言えます。

手数料は?

では、手数料はどうなっているのでしょうか、最大手の野村證券のホームページでは以下の様に書かれています。

 

ファンドラップ手数料は最大で運用資産の1.296%(税込み・年率)となります。このほかに投資信託では運用管理費用(信託報酬) (最大で信託財産の1.35±0.70%(概算)(税込み・年率))、信託財産留保額(最大で信託財産の0.5%)、その他費用をご負担いただきます。

 

コピペまんまですが、これによるとファンドラップ手数料と投資信託手数料で最大2.646%かかります。常に最大でなくても大体2%は最低でもかかる様です。

例えば1000万円の投資を行うとすると、初期の販売手数料がかからないけれど内側で20万円は支払っている事になります。

仮に毎年2%成長で進んだ場合、毎年20万円で、仮に5年だと100万円、10年だと200万円は払う事になります。

これはかなり高いと思えないでしょうか。

現在の米国の10年国債が2.1%の利回りであることを考えると個人的には取りすぎな印象です。

他に投資できる代替商品はあるのか?

完全に一致するものは無いですが、かなり近い運用は最近出てきたETFを活用すればできます。

まず、各投資信託にはベンチマークという投資信託自身が上回ることを目指している指標があります。

実際にファンドラップの詳細な資料には各投資信託ベンチマークがどれであるかが明示されてます。

例えば日本株ファンドであればTOPIX等が一般的です。

お金の運用を任されたファンドマネジャーはこの指数を平均を上回れる様に努力します。ただ、現実はコストが投資信託にかかってしまうため8割の投資信託ベンチマークに負けてしまうという話もありますし、今まで運用成績が良かったからといって今後も勝ち続けるかはわかりません。

しかし、コストは必ずかかり続けてしまいます。

では、ベンチマークと同様の成績でいいのでコストが安い商品がないか?というのに応えてくれるのがETFです。

株式と同様に自由な売買ができて手数料は株式手数料と非常に低い信託報酬のみで運用されています。

ネット証券を使えば株式の売買手数料を限りなくゼロにできます。

例えば野村アセットが運営するコード1306TOPIX連動型上場投信の運用にかかる経費は0.11%です。

約1/20の経費率です。

1000万円の投資ならば20万円なのか1万円程度なのかの違いがあります。

もちろん全てを日本株で運用するわけではないので他の資産も組み込まないといけないのですが総じて経費は安いです。

基本的には資産は日本株、外国株、国内債券、海外債券、不動産REIT等で殆どカバーできます。

ならば少しだけ勉強して自分なりの組み合わせを考えるだけで大幅にコストが変わるのでご自身で取り組む努力が一番です。

また、記事には富裕層や高齢者に人気とありますが、少なくとも私が各社でファンドラップ取引をしている方で喜んで購入している人は余り見かけません。

他に損をしている金融商品より組み合わせ効果で損が少ないコトを喜ぶ程度です。

販売に力を入れた結果伸びたというのが実態だと思います。

ラップをよりも株マニア的なファンドマネジャーの投信を直接買うか、ETFで自分なりの組み合わせ運用を行うか、個別債券や株を買うか選択肢は沢山あります。

証券会社の業績にわざわざ寄与しなくても良いと思います。