現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究39 #チェンマイ・イニシアティブ #米ドル

新興国危機、ドル供給を強化 ASEANと日中韓が安全網 (写真=共同) :日本経済新聞

 

記事のポイント

日中韓東南アジア諸国連合ASEAN)は2日に財務相中央銀行総裁会議を開き、資本の流出が起きた国に期間を定めず米ドルを供給するほか、円や人民元も交換対象とすることを目指す。

世界的な金融緩和で投機的なマネーが膨らむ中、新興国発の不安をおさえる狙いがある。

②97年にタイで起きた通貨急落は、シンガポールやマレーシアとの協調介入もしていたが、タイ政府は外貨準備を使い切り、通貨を防衛できなかった。チェンマイ・イニシアティブは14年の改定で総額を従来の2倍の2400億ドル(約26兆円)に拡大している

感想

何気なく書かれている記事ですが、結構重要な記事だと思います。

今回の合意のポイントは最大3年間だった期限を撤廃し、期限を設けないことです。

事実上いつでもドルを融通できる仕組みが半永久的に続くことになるので強力な防衛網がいつでも使える状態になります。

97年のアジア通貨危機で、米ドルの借り入れが多かったアジア新興国は自国通貨を実勢よりも高く設定していたため、ヘッジファンドに足下を見られて売りを仕掛けられ、

結局外貨準備が尽きてしまい、自国通貨の切り下げ、その後の変動相場制へ移行を余儀なくされ、外貨(主に米ドル)での借り入れを返済できなくなり、IMF管理に次々と入る屈辱の歴史があります。株も大いに混乱しました。

その時の反省からチェンマイ・イニシアチブは出来ました。

現在も米ドルは対外的に過去最高値に近い強さを誇っており、新興国の米ドル建て債務もたびたび問題になります

しかし、この枠組みがある以上、ヘッジファンドが加盟諸国の通貨を売りで下げて儲けようとしても日本や中国などの連合軍を敵に回して戦うことになるのでそもそも仕掛けてこないことが考えられます

よってアジアの加盟諸国については米ドル不足による影響はあるものの、通貨危機に陥ってIMF管理のようなことにはならないと考えてよいと思われます。

ちなみに加盟国はシンガポール共和国、日本国、マレーシア、ベトナム社会主義共和国ミャンマー連邦共和国ブルネイ・ダルサラーム国中華人民共和国タイ王国大韓民国ラオス人民民主共和国となっています。

 

注意:これがあるから各国の通貨が下落しないという意味ではないです。

各国のファンダメンタルに基づいた為替レートに市場が調整することになるのは当然です。

ただ、これがあると、ヘッジファンドを中心とした投機資金が大幅に下落させる売り仕掛けを控える効果があるので通貨が急落して立ち行かなくなる事態になるのは避けられるとみています。よって二度目のアジア通貨危機は起きないのではないかと推測されます。