現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究54 #企業分析 #会計士 #目に見えない価値

(Deep Insight)良い会社こう見つける :日本経済新聞

監査法人PwCあらたのパートナー、久保田正崇氏は人工知能(AI)を使ったリアルタイム監査の時代が来ると思い描く

企業の状態を常時ウオッチできるシステムが将来できるといつでも投資家の質問にも答えられるし企業の内容をチェックできる

②転職サイトなどの書き込みからも情報を集めて企業の文化や状態をチェックできる

③IoTの時代になると、財務諸表では読み取れない企業の生の状態が取れ、監査に生かせる

④世界最大の資産運用会社の米ブラックロックでは、店舗に集まる人の動きや従業員満足度等をAIやデータによって図るチームを保有する

有価証券報告書に加えて、経営方針の説明文などを自然言語処理で読み込み、経営者の意思を探る

ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は企業に本気の企業理念を持てと説いている

⑤米セールスフォース・ドットコムは社内に不平等を撲滅する「CEO」(チーフ・イクオリティ・オフィサー)という肩書の幹部を置いて、人種の多様化、賃金格差を埋めるべく行動させている

⑥マネーフォワード子会社のMF KESSAIはウェブ上のデータをもとに与信する自前のモデルを編み出して銀行取引ができないような企業にも売上債権の回収を代行している

感想

監査法人は不要だとか言われて久しく、難しい試験に通っても稼げないし、仕事もない、挙句の果てに不正会計の手伝いをさせられて訴訟リスクも背負うイメージがついていて、受験者が激減して逆に現在人手不足・・・と何かと大変な業界です。

ただ、企業と監査法人がシステムでつながると、現場の状態や人の書き込みなど今まで財務諸表という数字の塊でしか見られなかった企業の生の姿が常に見えるようになるので状況は一変します。

一方で会計監査だけができる机の上だけの仕事のみ得意な人は仕事は相変わらず減るでしょうが、企業や業界に詳しく、情報を手にしたときに変化や異常に気付ける人材がこれからは監査法人に求められるので監査法人の役割や求人のタイプも変わってくるのではないかと考えられます。

また、投信運用会社ブラックロックの例を見ても数字に表れる前の企業の状態をいち早く察知しようとか、経営者の発言や、従業員の動き、状態をチェックして株式投資に生かそうといういわば「見えない価値」に着目する運用はこれからも広がるでしょう。

マネーフォワードの取り組みは既存銀行にとっては脅威以外の何物でもないです

情報がわからないから取引しない銀行にとって、わからないものをわかるようにするモデルを保有しているならしっかりとした財務データを保有できている企業はたやすく与信ができてしまうので銀行不要論に拍車をかけてしまいます。

株式で考えると、個人がブラックロックと同様の行動を行うのは限界があります。

一番わかりやすいのがマネーフォワードのような既存の金融機関にとって代わるフィンテックビジネスの企業に幅広く投資をすることです

地方銀行都市銀行、証券会社、ノンバンク等の時価総額はまだまだ巨大で置き換わるならここに投資をしていた資金が流れてくるのは必然です。

もう一つが、まだ黎明期ですが、監査法人が新しい取り組みを行い始めているならこれが広がってきたときにいち早く取り入れている監査法人の監査を受けている企業を選んで投資することだと考えます。

自信があるからこそその監査法人の監査を受けられる企業とも言えます。

ただ、注意したいのが、これらの内容は結果として決算にしっかり反映されるということです。

目に見えない価値はとても大切ですが、ブラックロックの例を見て分かるように店舗を広げている企業の店舗に顧客が集まっているなら自然と売り上げは上がりますし、会社計画をしっかり毎期達成できるはずです。それは投信会社の資金を呼び込むし株価にも反映されます。

着眼点として目に見えない価値があると考える一方で企業理念や社長の発言、取り組みは素晴らしくても目先の決算数字が会社計画を下回ってばかりでいる企業はやはり売りであって、株価も低迷します

まずは四季報、そして四半期決算のチェック、これが我々個人投資家にはやはり最強の武器になると考えます。