現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究20 高金利通貨

金利外債に潜むリスク 長期で為替差損の傾向  日本経済新聞19面

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43375970V00C19A4PPE000/

記事のポイント

① 香川県在住の50代主婦が、トルコリラ建て債券で運用する投資信託を証券会社から勧められて分配金合わせても約4割の損失。

②「長期ではインフレ率格差をベースに考えるのが基本」と指摘する専門家は多い

③ 購買力平価を参考に2割強上振れした82年にドルを買っていたとすると、その後のドル安により5年後には5割前後の損失を負ったことになる。4割強下振れした95年にドルを買っていたら反対に2割の利益を上げられた。

④現在の購買力平価は1ドル=96円程度。実際のドル相場は110円前後なので、ドル高・円安方向に大幅に上振れしている状態

 

感想

典型的な高金利通貨のトルコリラの記事なので取り上げました。

この記事で参考にすべきはインフレ率と金利の比較です。

また、新興国は政治が不安定な場合も多いので政治状況もチェックする必要があります。

あとは記事には触れて無いですがトルコリラは過去に数回通貨の切り替えやデノミを行なってます。

金利が高い理由は信用力のなさの裏返しでもあります。利回りだけで売り込まれた場合は断るのが無難です。

一方で購買力平価を基にした投資が書かれてますが、これは参考程度が良いと思います。実際には役に立ちにくいです。

どのくらい乖離したら買いなのか、売りなのかわからないのと、ここの表だと2割乖離で買って5年後の例が書かれてますが、今後同じ事が起こるのかはわかりません。

また、金利収入が書いて無いです。1980年前後はインフレ率が高くて米国債も長期で10%を超えてました。

インフレ率も1980年前後は日米で極端な差はありません。

米国の場合はトルコリラと違い、通貨は半分でも10年国債保有継続して償還まで持てば投資金額が回収できてます。

記事では最初がトルコリラに投資した投資家の話、結びがアメリカドルの話なのが違和感あります。二つは同列では無いです。基軸通貨と衛星通貨は分けるべきです。

投資する場合考える私がポイントは

①該当国の政治は安定しているか

金利とインフレ率比較して金利が上回っているか、インフレ沈静化方向か

購買力平価の水準が極端に乖離していないか

④満足できる金利収入があるか

⑤該当国の通貨をずっと持ち続けられる気持ちがあるか

です。

特に⑤は大切です。円と違う分散の位置付けで持つかどうかなので米ドルかユーロくらいしか無いですが。

私は為替の売買は余り好きでは無いです。分散の一環で保有するなら長期保有を前提に考えた方が良いという考えです。

営業が来て高金利通貨を案内されたらインフレ率を訪ねたら良いと思います。

即答できない人からは買わないコトです。

なぜなら証券会社の商品販売の内部研修は美点凝視です。

都合悪いコトは社員にも教えません

金利をウリに販売したい商品なのに金利効果を打ち消すインフレ率は教えないか、言ってもサラッと流してる程度です。

投資家側も考えないのは罪です

販売側と一緒に考えながら投資対象を考えるスタイルを身につける必要もあると考えます。