日々の投資手法研究45 #ソフトバンク
ソフトバンクがヤフー子会社化 スマホ決済で連携強化: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44527990Y9A500C1X13000/
①ソフトバンクは8日、ヤフーを連結子会社にすると発表した。4565億円を投じ、出資比率を現在の12.08%から44.64%に引き上げる
②ヤフーは同時にソフトバンクグループ(SBG)傘下の中間持ち株会社から最大で5264億円の自社株買いを実施する
③取得した自社株の大部分は消却する予定
感想
昨年話題のソフトバンクですが、この発表をきっかけに上昇してます
また、もう一つの株価上昇の要因はおそらく増配にあると考えます
配当を85円にすることも合わせて発表になりました
今後の株価を考えてみました
親子関係になるので売上規模や利益は増えます
単純比較ができないのと、両社とも売上や営業利益の伸びは少ないです
また、ソフトバンクがヤフーから新株を引き受けて4500億円拠出しますが、ヤフーがソフトバンクGを相手に5200億円の自社株買いをするのでヤフーとソフトバンクがソフトバンクGに資金を提供する形で両社に資金が残りません
ヤフーは自社株を大部分償却するので株数には影響は軽微です
となると、ソフトバンクは同業とのPSR、PBR、配当利回りで比較が妥当と思われます
時価総額6.8兆円、1400円
ヤフー
時価総額1.7兆円、337円
2020.3予 売上4.8兆円、営業利益8900億円、一株益100円、配当85円
売上、営業利益は2社合計、一株益はソフトバンクの持分45%分に相当する分を反映させてます
PSRは2社合計で見るので1.8倍
PERは14倍
配当利回りは6.1%
株価2400円、時価総額8兆円
2020.3予 売上4.75兆円、営業利益8940億円、一株益180円、配当110-130円
PSRは1.7倍
PERは13.3倍
配当利回りは4.6-5.4%
株価2560円、時価総額6.5兆円
2020.3予 売上5.2兆円、営業利益1.04兆円、一株益269円、配当100-105円
PSRは1.25倍
PERは9.5倍
配当利回りは3.9-4.1%
三社比較だとソフトバンクは配当利回りは高いがPSRもPBRも高いです
docomoはソフトバンクと似たり寄ったりといったところです
今回の新体制が売上や営業利益を成長させるならば株価上昇しますが、もし、このままだと大体今の1400円くらいは落ち着きどころだと思います。まだ1500円超えは厳しそうです
ただ、今回のニュースであるようにソフトバンクはグループの大切な貯金箱です
株数4.8億株、配当85円、グループは63%保有中です
なので4.8✖️85✖️0.63=257億円の配当を毎年ソフトバンクGに払うことになります
業績にもよりますが、配当は下げにくいと思います
一般株主から見ると配当を受け取り続ける株式なら魅力はあります
株価は成長待ちですね
No.9改定 #1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本 #山本潤 #皆木和義
題名の強烈さにひかれて購入しました(笑)
著者紹介
山本潤さん
和光証券を経て1997年米系投資顧問クレイフィンレイインクに入社。
1997-2003年は上位1%の運用成績。
2004-2017年まで日本株ロング・ショート戦略ファンドマネージャー。
現在株式会社ダイヤモンド・ファイナンシャル・リサーチで運用サービスを提供。
株式会社リンクスリサーチの「株の学校」講師を務められてます。
皆木和義さん
京セラ名誉会長・稲森和夫氏、アサヒビール元会長・樋口廣太郎氏から経営を学ぶ。
プロ経営者として2007年にハードオフコーポレーションの代表取締役就任。
2014年にリソー教育副社長に就任し、成果を上げたプロ経営者の方です。
目次および本書を読んで感じた印象
はじめに
序章 株の神髄は「成長株投資」である
第1章 本邦初公開!99%勝てる株が見つかる11のシンプル計算
第2章 いま仕込んでおくべき成長株を紹介!
第3章 成長株選びに欠かせない経営者、経営戦略、ビジネスモデルの見極め方
おわりに
の構成になっています
まず、基本的な考え方は「はじめに」に書かれていて、
「初心者でも、たった20分で99%勝てる株を見つけられます。」
とわくわくさせられます。
そこで株式の成長における重要な要素が「配当」と書かれており、「株価」は予測不可能だが、「配当」は予測可能としています。
「長期的に配当の成長が期待できる株を購入し、投資額を早期に回収する」
とのことです。
日本にはGDPや市場の成熟度とは無関係に業績が動く企業が数多く存在する。
配当が将来数倍、数十倍になる業績拡大が見込まれる成長企業、不景気でも配当が維持される企業をみつけることが勝利への近道だと説いています。
つまり、単純に配当利回りを高い株を買うというのとは全く違います。
配当利回り株というといつも配当が減るリスクが強調されます。しかし、この手法によって選ばれた株式は減配のリスクが少ない株式ということになるので長期で保有するに足る条件を備えた配当利回り株といえます。
ファンドマネージャー時代、株価のチェックは1日1回、銘柄チェックは2週間に1回程度と低頻度だったそうで、日々パソコンにかじりついて売買を行っているファンドマネジャーのイメージとはかけ離れています。
これは山本氏が開発した「多段階配当モデル」の日本初の実践書で、初心者にもわかりやすく、項目を一つ一つ丁寧に解説しています。
また、私が衝撃を受けた文章は
「成長株投資で重視すべきは配当の安定性・成長性」
「配当利回りの逆数に0.69をかけると元本回収までの時間がわかる。
3%ならば33.3×0.69=23年で元本回収」
という一文でした、なぜかというと、成長株というと上場したての企業を思い浮かべ、成長株=無配当と頭で思い込んでいたからです。むしろ、配当を出す企業は成熟企業で成長余地がないから出しているとこれも思い込みからです。
考え方をひっくり返された気持ちになりました。
企業活動は自己資本を引き出して企業活動を行い、
利益を得て税金を支払い、配当を払って、
残った資金が自己資本にまた加わり、会社は成長する。
投資家は配当を受け取り、再投資することでどんどん投資元本を回収できてゆく。
よって配当が減らないで成長し続ければ99%株式投資では負けない。
確かにと感じました。
また、保有中の考え方では
「短期では株価は年間で3-4割動くもの、成長株投資では株価を気にして一喜一憂すべきではない。」
とも書かれており、忍耐が必要な投資法であることも書いてあります。
しかし、本書の5つの選定方法、6つの妥当株価チェック、目標株価の出し方
によって出た株式は自信を持って投資をし、保有を継続できる訳ですから忍耐強く保有できます。
本書のやり方は長期保有を前提にすればリスクを少なく株式投資に臨める教科書という印象を受けました。
株式の選定ステップにおいては5項目が紹介されていますが、キーワードは聞きなれない「営業費用売上比率」という言葉が出てきます。
これは営業利益率の逆の考え方で、1つの利益を生み出すのにどれだけ効率よく資本を活用しているかをチェックするために山本さんが考案した指標です。
投資株式の候補を出す上での5項目を項目だけ並べると、
①営業費用売上比率が1.15以上か
(食品、外食、陸運、卸売など業界平均が低い業種は1.1でもよい)
②配当性向が5割以上か
※②の条件を満たす場合は③を飛ばして④へ
③「直近4年連続で増収」か?
④経営の数値目標や中長期の計画が発表されているか?
⑤「永続性」と「数量見通し」で商品を評価
となっており、本書では手順を詳細に紹介しております。
また、具体的な企業の売り上げや営業利益、自己資本から導き出されるROEの計算方法なども紹介されており、わかりやすいです。
そして、ここで出した候補銘柄を6つの「バリュエーション」分析の手法を使って、果たして投資をしてよい株価なのか、将来(7年程度先)にどのくらいの目標株価なのかを出して、投資対象を絞ってゆく作業を行います。
具体的な手順はここでの紹介は控えますが、全て「配当」の成長率と、どれだけ「配当」をしっかり継続して出せるかに主眼を置いて分析が行われています。
最後に私がもう一つ衝撃だったのが、「チェックは年に1回程度で良い」
です。え!?そんなんでいいの?と思いました。もちろん、株価の急騰時の一部利食いやどうしてもだめになってしまった企業の入れ替えも適宜必要とも書かれているので全てでそれでいいということにはいかないかもしれませんが、株式投資といえば日々の株価を追ってしまうのが投資家や証券営業のクセですが、これは不要とのことで、証券営業泣かせでもあります。
また、第3章は
「成長株選びに欠かせない経営者、経営戦略、ビジネスモデルの見極め方」
と題して、皆木和義さんが書かれていて、企業の定性面をどう見るかについて書かれています。
日本を代表する経営者である日本電産の永守重信社長、京セラの稲森和夫名誉会長、ソフトバンクGの孫正義社長の経営の考え方の基本が詳細に書かれてます。
また、投資家も知っておくべき経営戦略論、会社の収益がどのように上がるかの仕組みを表すビジネスモデルとその見極め方の紹介と実際の企業の例を複数上げてわかりやすく解説しています。
なかなかすべてを理解して使いこなすにはハードルが高いですが、やはり企業は経営者の考え方がしっかりしていないと成長はしません。
ホームページなどで共感できるか、その経営者に関する情報はないか、なければ株主総会やIRに行く必要もあると感じました。
おわりに、には山本潤さんの思いが書かれています。
ポイントは
①日本人が預金ばかりなのは日本の金融機関の在り方に原因がある。
②金融機関は投資家育成の努力を怠り、結託して投資家に高い手数料を払わせて来た。
③営業は運用を知らない。
④年収500万円程度で十分の業界。
⑤月額9000円の定額で学べるダイヤモンド・ファイナンシャル・リサーチを立ち上げ、投資家育成を実施している。
⑥金融リテラシーとは知識ではない、自分で考えて行動する行動力であり、企業を応援しようとする態度であり、株価の下落に一喜一憂しない度量である。
金融機関に勤務する身として感じるものがありました、あまり大して株式に対して知識もなく、公募株を販売するだけで手数料稼ぎをしている証券営業が多すぎます。
一方でこの山本さんのモデルで運用してしまうと手数料収入も激減してしまうので悩ましいなぁと正直思いました。
感想および本書から感じた投資手法の活用方法
株式の選定の仕方と目標株価の出し方がとても明確でわかりやすい本でした。
個人的には会社四季報オンラインが活用できるのではないだろうかと感じました。
スクリーニング機能を活用してデータを取れます。
ある程度選定を行って最後四季報を読んで企業のホームページなどをチェックしながら選定作業を行うと効率的です。
成長株投資で重視すべきは「配当の安定性・成長性」の一文は頭がガーンとなりました。
成長株は配当をせずに事業に100%投資するのが一番良いと思っていたからです。
しかし、思えば配当をしない会社なのか配当をできない会社なのかはわからず、結構失敗したことがたくさんありました。
活用の仕方ですが、期間が7年程度とやや中期的なことや、10倍や100倍を狙う投資法ではないのである程度のまとまった資金を負けにくい株を探して数倍を安定的に狙いに行くスタイルがいいのではないかと考えます。
証券営業では外国債券の販売も行いますが、最近利回りは低く、先進国だとアメリカが一番高いですが、それでも7年程度の満期ならば社債で3-4%、リスクの高い発行体の社債でも5-7%程度です。
その程度なら配当利回りで十分取れるし、事業が成長して株価も上昇する可能性があるならば代わりになると思えます。
また、為替リスクを外国債券はとるわけで、こちらも毎年10~20%程度動くものなので、株価リスクを取るのと大きな違いはないと思います。
また、時価総額が大きな会社であっても通用するので資産家が株式を保有し、配当を長期に受け取りながら資産の成長を目指すことにも活用できると思います。
小型株投資である程度資金ができたものの、10倍、100倍狙いだけでなく数倍を狙う程度で安定運用に切り替えたい部分をこちらに振り替えるのにも役立ちます。
株式で貯蓄を行う上で役に立つ手法ではないかと考えられます。
年に1度程度のチェックで良いのも手間が省けて嬉しいです。
成功者の手法を学ぶことはとても楽しいし、意義あることです。
もっと数多くの書籍を読み、学び、アウトプットすることで沢山のニーズに応えられるよう継続したいと改めて感じました。
※このブログでは全体の一部しか紹介出来てません。私の感想もかなり入ってます。
もし、テーマや内容に興味を持たれたら本書を購入の上ご確認ください。
日々の投資手法研究44 #ソニー
最高益も市場は低評価 日本経済新聞
各部門の営業利益と減価償却費を足したEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)に、関連業界の平均EV/EBITDA倍率を乗じて事業別の企業価値を試算した。
8事業の合計は約14兆円に達するが、実際の市場の評価(時価総額に有利子負債を足した価値で約8兆円)はこれより6兆円低い。
②この差の正体が株価の「コングロマリット・ディスカウント」だ。企業が多くの事業を抱えると、1つの事業が振るわなくても他の事業で補える利点があるが、投資家からは割り引かれて評価されがちだ。
感想
この分析と別に私がいつも使っているPER、PEG、PSRでも見て、本当に割安なのか検証してみました。
四季報オンラインからです
2019.3予 売上8.7兆円、営業利益8700億円、一株利益662円
2020.3予 売上8.6兆円、営業利益8900億円、一株利益555円
一株利益が大幅に変動しているのはスポティファイの株式売却益の影響も大きいようです。
2020年は株式売却益は見込んでません。
2020年一株利益で見るとPERは9.7倍、営業利益成長率は2.2%、PEGは4.4倍です
PSRは約0.8倍です
6兆円今よりも評価されると株価はおよそ倍になることになります。
PERについては20倍程度、PSR1.6倍ですから割高とは言えないですが、PEGの低さから行くと現状では難しい印象です。
ROEは3.78兆円に対して7000億円なので18.5%と効率経営です。
こうなると原因は営業利益の伸び率ということになりそうです。
PEGが2倍だと考えると営業利益伸び率が5%、1倍だと10%必要です
やはり記事にあるように手元資金の1.5兆円を活用して事業買収をするか、自社株買いを行うかきっかけが必要です。
ただ、率にするとそれほど高いハードルがあるわけでもないので、今後の政策次第で伸びる可能性もあると思われます。
No.18 #エフナン流株式投資術 #奥山月仁 #日経BP社
書籍紹介ブログ18冊目になります。
内容に入る前にお断りで、9冊目から17冊目を一旦下書きに戻しました。
本来の私の目的は、読んだ書籍のエッセンスを感想とともに紹介して、ブログを読んだ方が自分に合うなと感じるスタイルの書籍を実際に購入して、投資スタイルを身に着ける助けになることです。
しかし、自分でややその趣旨と外れていると感じたため一旦下書きにして改めてアップし直したいと思います。
申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。
著者紹介
奥山月仁(おくやま・つきと)さん
会社員投資家、高校2年から株式投資を開始。投資歴は約30年。故蝉山昌一大阪大学教授のゼミで証券理論を学ぶ。ピーター・リンチに倣い、わかりやすい成長株に中長期で投資し、数億円の資産を築く。
とあります。
本書は2017年1月号から18年6月号に掲載された連載の「エフナンさんの株で勝つ!」を加筆・再修正して発行された書籍です。
「つ・な・げ・よ・う」が奥山さんの株式研究の重要なポイントです。
はじめに
奥山さんが資産を築くきっかけになった書籍は米国の伝説的ファンドマネジャー、ピーター・リンチ氏の「ピーター・リンチの株で勝つ」「ピーター・リンチの株式投資の法則」(ダイヤモンド社)を読んだことがきっかけだそうで、そこから成長株投資に大きくシフトしたそうです。
つなげようの「つ」強みを知れ
ピーター・リンチ氏は短期的な株価の変動は完全に無視して長期保有し、企業の成長や業績回復に伴う長期的な株価の上昇を狙うことに徹している。通常は5銘柄前後に集中投資している。
これに倣い、忙しい会社員でもある奥山さんは「割安成長株」を探し、長期投資するスタイルに変えたそうです。
株式を探すポイントが書かれていますが、その中で特に「気づき」があったのが、大化け候補の一つが「成長著しい嫌なライバル企業」です。
ライバル企業は例えば私は証券会社所属ですから、フィンテック企業なんかは調べれば調べるほど手強さを感じますが、そちらの株価の伸びと既存金融機関の株価の伸びは明らかに違います。嫌なライバルを買うことが成功の一つの方法だとは考えてきませんでした。
つなげようの「な」流れを知れ
ここでは成長株投資の注意点が書かれています。
成長株投資で必要なのが「忍耐」
時には20%や30%下落することも良くある中で我慢して保有を継続しないといけないからで、簡単に降りてしまうとせっかくの大相場に乗れない可能性も高いと書かれています。
これは今株式投資を行っている人の大半が頭が痛いところではないでしょうか。
また、「業績と株価が乖離したら買いの好機」とし、4つのパターンに分けて分析していますが、
追加で避けるべきとして「業績悪化以上に株価が下落する」パターンが紹介されてます。
が、投資家の参加人数は「これが一番人数多そう」と思ってしまいました。
勧める側、買う側、それぞれ避けなければいけないパターンです。
つなげようの「げ」原理を知れ
「株価は未来を反映させるが、数か月から3年程度の未来と言われており、このアバウトさを受け入れる必要がある。」
参考例として台風の進路予想図が本の中に出てきますが、心理的に大きく重要です。
このアバウトさを受け入れられないとパニックになるのが株式投資だと思います。
でないと、悩みこんでしまうと思います。
株式を動かす原理は3つ 「近未来の業績」「リスク」「金利」、これらが相互作用する。このほか、企業業績が著しく悪化した場合は市場平均PBRが0.7~0.8倍程度で下落が止まり、下支えするとのことです。
また、投資手法として活用できる考え方がPERの考え方の紹介でした。
実績PERが割高でも、2~3年後の予想EPSで求めた予想PERで見れば割安なケースもあるし、今後3年のEPS成長率でPERを割るPEGレシオも紹介されてます。
1株益(EPS)成長率が今後3年程度で年率20%成長ならば、実績PERが20倍なら1倍となるが、この指標が1倍なら妥当、0.5以下なら割安、2倍以上なら割高と判定する。
ここで感じたのが、PEGレシオはピーター・リンチ氏が好んで使っている指標ですが、今後3年間の成長率を使うんだと思いました。
私が参加している勉強会では、昨年実績と今年予想の平均を使ってますし、営業利益の伸びで計算を行ってます。
また、別の書籍ではEPS成長率の1年分の予想を使っているものもありました。
ここも厳密というよりかはある程度アバウトでいいのかもしれません。
会社がPERを正当化できる株価なのかをみて、明らかに倍率がどのケースでも3倍、4倍なら見送り、1倍を割れているようなら買いの候補として残すようなやり方で良いかと思います。
また、非常に参考になったのが、ROEで、ニッセイ基礎研究所が2005年から1月~2017年7月までの各月の日経平均株価のPBRと予想ROEの関係を示したデータが紹介されていて、ROE8%以下はPBRで判断したほうが良いと状況によってどの指標が有効かを示してます。ROEが8%を超えると株価とROE上昇に関連性があり、切るとPBRを見に行く傾向があるようです。
つなげようの「よ」弱みを知れ
「個人投資家や人間ならではの弱みを理解する」
として、著者の弱みの一つに「すぐ利確したくなる」の挙げられてますががブログを執筆し、「読者に対して示しがつかない」思い、結果短期売却したい誘惑を克服したそうです。
弱みには2種類あり、克服できる弱みは工夫しながら克服し、克服困難であれば戦略でカバーする。困難な弱みに立ち向かわず、回避することも戦略の一つと書かれてます。
このPARTで自分にも当てはまる大きなものが
「穴にはまっていると気づいたとき、一番大切なのは、掘るのをやめることだ」
というウォーレン・バフェットの格言でした。
損した後にもう一度と勝負をかけると大体大失敗する。それならば一旦離れて冷静になってから再度慎重に入りなおす重要性で、私も過去に何度も経験しています。
余談ですが、証券会社と付き合う中で損をかけた後に「これで取り戻しましょう」と乗り換え案内を勧めてくる時はこれに該当するかもしれませんので注意しましょう。
つなげようの「う」うらをとる
企業をイメージで短絡的に捉えるのではなく、事業の概観を俯瞰することの大切さが書かれてます。
ここで私が感動したのが企業の概観を俯瞰する5つのポイントを理解するための「梨の木」の絵というのが紹介されていて、ものすごくわかりやすいし、イメージしやすかったです。
木の幹が①成長性②健全性
梨の実が③商品・サービス(収益性)
風当りや土壌が④外部要因
栽培者が⑤経営者 に例えてそれぞれの内容について解説しています。
また、ウラを取ることについても詳細に書かれており、
手順として「四季報」→「企業ホームページ」→「表計算ソフトを活用した長期業績動向分析」→「今後も成長が続くか検討」となっています。
とても共感できたのが最後の成長が続くかのところで、コインパーキングの会社と自動車販売店の違いが書かれていて、努力を重ねて顧客を拡大すればそのまま企業の売り上げ拡大につながるビジネスと、次々と販売を重ねてゆかないと立ち行かないビジネスモデルの違いをあげてます。
これ、今話題のストックビジネスということになりますね。
最後に「株式投資は副業の有力候補」として皆さんにも勧めています。
感想
ここで紹介したのはほんの一部です。私が印象に残った個所のみ取り上げてます。
この本を読んで感じたのが、奥山さんの丁寧な株式投資に対する姿勢が伝わってくることです。
四季報を丁寧に読み、企業の事業内容、健全性、成長性をチェックし、PER、PBR、ROEを出し、気になる銘柄は四半期決算をエクセルに落として収益性が下がってないかなど詳細にチェック、買う候補の企業はホームページを見て、製品やサービスが受けられるなら実際に行ってチェックする。
どれも誰もできることなのに徹底してやっている人は少ないのではないでしょうか。
だからこそ、数億円の資産を築くに至ったのだと思います。
また、自分の中でいろいろな角度から検討して推敲を重ねたうえで投資した企業は多少下がっても自信があるので保有を継続できます。
真摯に株式や企業と向き合う姿勢が好感を持てる本でした。
四季報をよく読んで、じっくり長期投資を行う方の株式を見る目を養う上で教科書的な存在になる書籍だと感じました。
※このブログでは全体の一部しか紹介出来てません。私の感想もかなり入ってます。
もし、テーマや内容に興味を持たれたら本書を購入の上ご確認ください。
日々の投資手法研究43 #キーエンス
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44479330X00C19A5TJ3000/
記事のポイント
2019年3月期に7期連続で最高益を更新した
①従業員の平均年収は2088万円(18年3月期)
②営業成績ランキングは日々公表、悪いと個別面談も
③営業車にGPSが付いており、目的地に10分遅れると上司に問いただされる
④根性頼みのモーレツ営業ではなく、緻密な分析を基にした「データ営業」が特徴
⑤他社の追随を許さない独自技術は持たないが、利ざやが大きい。19年3月期の売上高原価率は18%と、59%のオムロンを大きく下回る
⑥単品をカタログ販売するのでは無く、全世界の営業が各地の工場に足繁く通って集めたニーズカードを基に顧客ニーズを的確に把握し、ソフトと組み合わせて付加価値の高いシステムを販売する。
⑦開発者は「まだ世にない機能」をキーワードに開発を進める
⑧今後は中国企業にも食い込んで行く
感想
株式市場で輝いているキーエンスです。
今の働き方改革でみたらどうでしょう?
果たしてブラック企業なのでしょうか?
私にはそうみえません。
元々厳しい会社だと言うのが世間に認知されている事、報酬が平均2000万円と高い事、たくさんのスキルを身につけられる事から考えるとやる気がある人には魅力的な会社だと思います。
また、「特別な技術が無いけど高収益」がキーワードだと思います。
全世界の営業の顧客ニーズを共有し、担当顧客にメリットある提案を行い、具体的に製品やシステムを開発、構築されたら企業にとっては他社に無いオーダーメイドの製品なので付加価値は高く、価格が高くても購入します。
また、これについてこれる顧客も勝ち組企業に自然となると思われます。
私も営業ですが、全担当者の顧客ニーズを共有して新しい金融商品を開発する気運はありません。
担当者個人や一部組織内だけで囲って、むしろ教えたく無い文化です。
皆が真似して出来る訳では無いですが、今一度営業の本質とは何かを考えさせられました。
データをまとめたり、提供する事はAIができますが、顧客ニーズを聞き出し、的確に把握する作業は人にしかできません。
また、そこまで話しても良いと思える担当者になることもAIにはできません。
最後にキーエンスのPER、PEG、PSRをチェックしておきます。
四季報オンラインからとってます
株価2019/5/8 66830円、時価総額8.1兆円
2018.3積 売上5268億円、営業利益2928億円、一株益1737円
2019.3予 売上6000億円、営業利益3340億円、14%増、一株益1979円
2020.3予 売上6450億円、営業利益3640億円、9%増、一株益2111円
2020.3で見るとPERは31.6倍、ここ2年の営業利益増加率が平均11.5%なのでPEGは約3倍です
PSRは時価総額8兆円に対して売上6450億円なので12倍を超えます。
指標上ではちょっと買い辛いです。
相場が崩れてPEGが2倍割れくらいしてくれたらまた考えたいと思います。
日々の投資手法研究42 #IoT
歯ブラシもIoT デンタルテック続々:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44265690W9A420C1FFR000/
①小児歯科の悩み相談サービスを手掛けるノーブナイン(大阪市)は2020年、センサーで歯周病菌があるか調べる電動歯ブラシ「スマッシュ」を発売する
②夏からの実験を経て、800の医院から発売する。1本5千~8千円の見込みで年8万本の販売を目指す
③システム会社の歯っぴー(熊本市)は、スマホ写真から歯周病の可能性をみるAIを開発中だ。口の中の写真を撮り、歯石や歯肉の状態をみる。狙いは検診サービス会社への納入で、デンタルサポート(千葉市)が20年の導入を決めている。
④ITが解決するのは病気だけではない。例えば慢性的に不足する歯科衛生士の確保に生かせる。HANOWA(大阪市)は7月、専用画面で自宅近くの医院を探し、勤務時間を1時間単位で選べるサービスを始める。
感想
アナログな世界が新しい技術で付加価値を生み出す典型例なので取り上げました
歯ブラシはいつも100円から200円くらいですが5000円から8000円ってすごい価格差です。
8万本だと4億円から6億円なので既存の歯ブラシ何本分なんだと思います。
また、予約もいつも取りづらく、あちこち電話してなんとか行けるところに滑り込む場合も多いので普及しそうなサービスです。
普通の病院でも是非導入してもらいたいです。
今まで医療業界は電子カルテや2413エムスリーの様なお医者さんむけのサービスは色々ありますが、患者のサポートは以外と少ないです。
アナログな業界ですし、活用できるお医者さんと出来ないお医者さんの差も開きそうです。
まだ未上場ですが、今後に期待したいです。
日々の投資手法研究41 #千代田化工建設 #日揮
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44446200V00C19A5MM8000/
記事のポイント
①三菱商事はプラント会社大手、千代田化工建設の経営再建を支援する方針を固めた
②日本が官民を挙げた原子力発電所の輸出が後退したなか、千代田化工の再建は日本のインフラ輸出戦略の試金石となる
③千代田化工は18年に米国の受注案件でハリケーンの復興需要などによる人手不足により工事が遅れた。熟練工の確保の追加費用などが響き、18年4~12月期に1281億円の最終赤字になった
④三菱商事は1990年代後半と08年にも経営危機の千代田化工を支援した。3回目の支援に乗り出すのは、日本勢が強いLNGプラントの輸出が有望とみているからだ
⑤業界で大型プラントを建設できるのは千代田化工と日揮、欧州テクニップFMC、米ベクテルの4社
⑥LNGプラントは原発に代わるインフラ輸出の要となりうる。ただLNG事業は10年単位を要し、市況や資源国の政策に振り回される恐れがある
感想
株式投資を行う人からするとまたか、という印象だと思います。
世界でも優秀な技術があるが、稼ぐ力が弱く、下方修正常連企業の印象があります。
同業として紹介されていた日揮と比較してみます。
四季報オンラインから
6366千代田化工建設
2019/04/26株価352円時価総額912億円
2018.3積売上5102億円、営業利益➖123億円、一株益24.9円
2019.3予売上4000億円、営業利益➖865億円、一株益は日経新聞の最終赤字1500億円を元にすると➖576円、一株純資産が112円なので大幅に債務超過です
PER、PBR、PEG、それぞれ機能しません。
PSRだけ計算できます、0.23倍とこれだけ超割安です
1963日揮
2019/04/26株価1588円、時価総額4113億円
2018.3積売上7229億円、営業利益215億円、一株益66円
2019.3予売上6400億円、営業利益220億円、一株益48円
2020.3予売上6600億円、営業利益240億円、一株益60円
2020.3予で見ると、PER26.5、営業利益成長率9%、PEGは2.95倍、PBRは1倍、PSRは0.62倍
です
比較対象がPSRしかないので、これだけで見ると千代田化工に軍配が上がりますが、稼ぐ力が弱くて今後同様の失敗をしそうで気になります。
プラント株なら割安感は余りないですが日揮になると思います。
新聞にもありましたが、千代田化工は技術はあるようです、ただ、同じ業界でありながら日揮との業績面での違いがありすぎます。
私は業界の人では無いので四季報からみるしか無いですが、株主構成にポイントがあるように思います。
千代田化工の筆頭株主は三菱商事で33.3%です。想像ですが、三菱商事が仕事を持って来てくれる環境ではないかと思われます。
ならば自ら営業して開拓する必要がない代わりに多少無理があった仕事でも三菱商事絡みなら受けざるを得ない環境かもしれません。
また、今回の様に金融支援を三菱グループで受けられる環境なので、お金の管理が甘い可能性が考えられます。
日揮は系列企業では無いので緊張感持って経営をしているので同じ環境下でも業績が全く違うのでは無いでしょうか。
企業を見る際に株主構成は経営者の環境を見る上でポイントの一つだと思います。
順序は1.オーナー企業2.独立系3.系列企業です。
今回の金融支援で倒産は免れ、国策企業でもあるので短期的には株価は上昇しそうですが、長期でみるとまた同じ失敗を繰り返しそうな印象です。
今後の経営改革、業績面で会社予想をしっかりクリアできるかを確認できるまで私は買いたく無い株だなと感じました。