No.9改定 #1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本 #山本潤 #皆木和義
題名の強烈さにひかれて購入しました(笑)
著者紹介
山本潤さん
和光証券を経て1997年米系投資顧問クレイフィンレイインクに入社。
1997-2003年は上位1%の運用成績。
2004-2017年まで日本株ロング・ショート戦略ファンドマネージャー。
現在株式会社ダイヤモンド・ファイナンシャル・リサーチで運用サービスを提供。
株式会社リンクスリサーチの「株の学校」講師を務められてます。
皆木和義さん
京セラ名誉会長・稲森和夫氏、アサヒビール元会長・樋口廣太郎氏から経営を学ぶ。
プロ経営者として2007年にハードオフコーポレーションの代表取締役就任。
2014年にリソー教育副社長に就任し、成果を上げたプロ経営者の方です。
目次および本書を読んで感じた印象
はじめに
序章 株の神髄は「成長株投資」である
第1章 本邦初公開!99%勝てる株が見つかる11のシンプル計算
第2章 いま仕込んでおくべき成長株を紹介!
第3章 成長株選びに欠かせない経営者、経営戦略、ビジネスモデルの見極め方
おわりに
の構成になっています
まず、基本的な考え方は「はじめに」に書かれていて、
「初心者でも、たった20分で99%勝てる株を見つけられます。」
とわくわくさせられます。
そこで株式の成長における重要な要素が「配当」と書かれており、「株価」は予測不可能だが、「配当」は予測可能としています。
「長期的に配当の成長が期待できる株を購入し、投資額を早期に回収する」
とのことです。
日本にはGDPや市場の成熟度とは無関係に業績が動く企業が数多く存在する。
配当が将来数倍、数十倍になる業績拡大が見込まれる成長企業、不景気でも配当が維持される企業をみつけることが勝利への近道だと説いています。
つまり、単純に配当利回りを高い株を買うというのとは全く違います。
配当利回り株というといつも配当が減るリスクが強調されます。しかし、この手法によって選ばれた株式は減配のリスクが少ない株式ということになるので長期で保有するに足る条件を備えた配当利回り株といえます。
ファンドマネージャー時代、株価のチェックは1日1回、銘柄チェックは2週間に1回程度と低頻度だったそうで、日々パソコンにかじりついて売買を行っているファンドマネジャーのイメージとはかけ離れています。
これは山本氏が開発した「多段階配当モデル」の日本初の実践書で、初心者にもわかりやすく、項目を一つ一つ丁寧に解説しています。
また、私が衝撃を受けた文章は
「成長株投資で重視すべきは配当の安定性・成長性」
「配当利回りの逆数に0.69をかけると元本回収までの時間がわかる。
3%ならば33.3×0.69=23年で元本回収」
という一文でした、なぜかというと、成長株というと上場したての企業を思い浮かべ、成長株=無配当と頭で思い込んでいたからです。むしろ、配当を出す企業は成熟企業で成長余地がないから出しているとこれも思い込みからです。
考え方をひっくり返された気持ちになりました。
企業活動は自己資本を引き出して企業活動を行い、
利益を得て税金を支払い、配当を払って、
残った資金が自己資本にまた加わり、会社は成長する。
投資家は配当を受け取り、再投資することでどんどん投資元本を回収できてゆく。
よって配当が減らないで成長し続ければ99%株式投資では負けない。
確かにと感じました。
また、保有中の考え方では
「短期では株価は年間で3-4割動くもの、成長株投資では株価を気にして一喜一憂すべきではない。」
とも書かれており、忍耐が必要な投資法であることも書いてあります。
しかし、本書の5つの選定方法、6つの妥当株価チェック、目標株価の出し方
によって出た株式は自信を持って投資をし、保有を継続できる訳ですから忍耐強く保有できます。
本書のやり方は長期保有を前提にすればリスクを少なく株式投資に臨める教科書という印象を受けました。
株式の選定ステップにおいては5項目が紹介されていますが、キーワードは聞きなれない「営業費用売上比率」という言葉が出てきます。
これは営業利益率の逆の考え方で、1つの利益を生み出すのにどれだけ効率よく資本を活用しているかをチェックするために山本さんが考案した指標です。
投資株式の候補を出す上での5項目を項目だけ並べると、
①営業費用売上比率が1.15以上か
(食品、外食、陸運、卸売など業界平均が低い業種は1.1でもよい)
②配当性向が5割以上か
※②の条件を満たす場合は③を飛ばして④へ
③「直近4年連続で増収」か?
④経営の数値目標や中長期の計画が発表されているか?
⑤「永続性」と「数量見通し」で商品を評価
となっており、本書では手順を詳細に紹介しております。
また、具体的な企業の売り上げや営業利益、自己資本から導き出されるROEの計算方法なども紹介されており、わかりやすいです。
そして、ここで出した候補銘柄を6つの「バリュエーション」分析の手法を使って、果たして投資をしてよい株価なのか、将来(7年程度先)にどのくらいの目標株価なのかを出して、投資対象を絞ってゆく作業を行います。
具体的な手順はここでの紹介は控えますが、全て「配当」の成長率と、どれだけ「配当」をしっかり継続して出せるかに主眼を置いて分析が行われています。
最後に私がもう一つ衝撃だったのが、「チェックは年に1回程度で良い」
です。え!?そんなんでいいの?と思いました。もちろん、株価の急騰時の一部利食いやどうしてもだめになってしまった企業の入れ替えも適宜必要とも書かれているので全てでそれでいいということにはいかないかもしれませんが、株式投資といえば日々の株価を追ってしまうのが投資家や証券営業のクセですが、これは不要とのことで、証券営業泣かせでもあります。
また、第3章は
「成長株選びに欠かせない経営者、経営戦略、ビジネスモデルの見極め方」
と題して、皆木和義さんが書かれていて、企業の定性面をどう見るかについて書かれています。
日本を代表する経営者である日本電産の永守重信社長、京セラの稲森和夫名誉会長、ソフトバンクGの孫正義社長の経営の考え方の基本が詳細に書かれてます。
また、投資家も知っておくべき経営戦略論、会社の収益がどのように上がるかの仕組みを表すビジネスモデルとその見極め方の紹介と実際の企業の例を複数上げてわかりやすく解説しています。
なかなかすべてを理解して使いこなすにはハードルが高いですが、やはり企業は経営者の考え方がしっかりしていないと成長はしません。
ホームページなどで共感できるか、その経営者に関する情報はないか、なければ株主総会やIRに行く必要もあると感じました。
おわりに、には山本潤さんの思いが書かれています。
ポイントは
①日本人が預金ばかりなのは日本の金融機関の在り方に原因がある。
②金融機関は投資家育成の努力を怠り、結託して投資家に高い手数料を払わせて来た。
③営業は運用を知らない。
④年収500万円程度で十分の業界。
⑤月額9000円の定額で学べるダイヤモンド・ファイナンシャル・リサーチを立ち上げ、投資家育成を実施している。
⑥金融リテラシーとは知識ではない、自分で考えて行動する行動力であり、企業を応援しようとする態度であり、株価の下落に一喜一憂しない度量である。
金融機関に勤務する身として感じるものがありました、あまり大して株式に対して知識もなく、公募株を販売するだけで手数料稼ぎをしている証券営業が多すぎます。
一方でこの山本さんのモデルで運用してしまうと手数料収入も激減してしまうので悩ましいなぁと正直思いました。
感想および本書から感じた投資手法の活用方法
株式の選定の仕方と目標株価の出し方がとても明確でわかりやすい本でした。
個人的には会社四季報オンラインが活用できるのではないだろうかと感じました。
スクリーニング機能を活用してデータを取れます。
ある程度選定を行って最後四季報を読んで企業のホームページなどをチェックしながら選定作業を行うと効率的です。
成長株投資で重視すべきは「配当の安定性・成長性」の一文は頭がガーンとなりました。
成長株は配当をせずに事業に100%投資するのが一番良いと思っていたからです。
しかし、思えば配当をしない会社なのか配当をできない会社なのかはわからず、結構失敗したことがたくさんありました。
活用の仕方ですが、期間が7年程度とやや中期的なことや、10倍や100倍を狙う投資法ではないのである程度のまとまった資金を負けにくい株を探して数倍を安定的に狙いに行くスタイルがいいのではないかと考えます。
証券営業では外国債券の販売も行いますが、最近利回りは低く、先進国だとアメリカが一番高いですが、それでも7年程度の満期ならば社債で3-4%、リスクの高い発行体の社債でも5-7%程度です。
その程度なら配当利回りで十分取れるし、事業が成長して株価も上昇する可能性があるならば代わりになると思えます。
また、為替リスクを外国債券はとるわけで、こちらも毎年10~20%程度動くものなので、株価リスクを取るのと大きな違いはないと思います。
また、時価総額が大きな会社であっても通用するので資産家が株式を保有し、配当を長期に受け取りながら資産の成長を目指すことにも活用できると思います。
小型株投資である程度資金ができたものの、10倍、100倍狙いだけでなく数倍を狙う程度で安定運用に切り替えたい部分をこちらに振り替えるのにも役立ちます。
株式で貯蓄を行う上で役に立つ手法ではないかと考えられます。
年に1度程度のチェックで良いのも手間が省けて嬉しいです。
成功者の手法を学ぶことはとても楽しいし、意義あることです。
もっと数多くの書籍を読み、学び、アウトプットすることで沢山のニーズに応えられるよう継続したいと改めて感じました。
※このブログでは全体の一部しか紹介出来てません。私の感想もかなり入ってます。
もし、テーマや内容に興味を持たれたら本書を購入の上ご確認ください。