現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

No.13改訂 #まずは2倍株で勝つ #朝香友博 #アールズ出版

 

著者紹介

 

朝香友博さん

本が書かれたのは2014年2月です。この前の4年間で6つの10倍株をヒットさせ、投資プロマガランキング1位を獲得したブログ「大化け株投資のすすめ」を主宰。

年間500社に及ぶ企業の売り上げ拡大や見本市を中心とした市場開拓を支援なさっているクリエイターでもあります。

立教大学卒業後に政治家の私設秘書、中国の上海交通大学留学、米国の産業PR会社就職、インド株投資家にもなり、多彩な活動を行われています。

 

全体を読んで凄いなぁと感じたところはこの手法はアベノミクスが始まる前の2010年から2012年の時にテンバガーを実現している銘柄をいくつも発掘しているところです。

また、銘柄分散、時間分散もしっかり行って投資するので負ける確率は非常に低いのではないだろうかと感じます。 

目次と感想

はじめに

第1章 必要最低限だけでいい「テンバガー(10倍株)運用」入門

第2章 まずは2倍株で勝ち、10倍株を目指す売買ケーススタディ

第3株 株投資で勝つための10の知恵

第4章 ストーリーで学ぶ「テンバガー」10倍株運用入門

あとがき

です

 

 最初にいきなり出てくる文章は

「10倍株より2倍株が大事」です。

 趣旨は「10倍株になるまでずっと待つのではなくて、2倍になった時点で、一部を利益確定しておくことが大事」ということです。

 前回出版の「テンバガー10倍株で勝つ」では利益の確定水準や撤退するときの水準を書いてはいたものの、10倍の言葉だけが強烈に残ってしまって利益確定できないまま損失を起こしてしまう読者の方が出てしまったからだそうです。

 資産を10倍にするのと10倍になるまで株を保有するのはイコールではないという事です。

 1銘柄だけを投資していきなり10倍、100倍を狙うだけの取引はギャンブルになってしまうので本書で「忙しい方が週末だけでもできる賢明な株式運用の投資法」の本を書こうとなさったそうです。

 

 この点について、私も経験があります。

 数か月で4倍程度になった時にもっともっと上がるはずだと考えて保有したまま四半期決算を迎えて実はあまりいい決算が出なくて下落、結局5割増くらいのところで売却して、何とか難を逃れた経験があります。

 2倍で利確、3倍で利確と順繰り売却しておけば・・・と後悔してます。

 第1章でいったいどんな特性の株式にどんな視点を持って臨むかが詳細に書かれています。

 ここでは全てを書く訳にはいきませんが、とてもシンプルで分かりやすいです。

 まず、株式には成長株と景気敏感株、テーマ株、トレンド株、ボロ株、低位株などがあり、朝香さんは成長株と景気敏感株に主に注目し、テーマ株やトレンド株は詳しくて先回りできるならばと限定的、ボロ株、低位株は触らない方針です。

 成長株と景気敏感株を分けてそれぞれどのような株式を狙うかも詳しく書かれています。

 基本はこの1年半で最も終値が高く、勢いの強い株価であること、その上で時価総額や売り上げの伸び、予想営業利益、株主構成、四季報判断、営業キャッシュフローの状態、PSR等の指標から判断して割安かどうか、買えるかどうかをチェックなさってます。

 この中で一部紹介すると、PSRという指標についてです。時価総額を売上高で割った指標ですが、基準が曖昧なため使いづらい指標です。しかし、朝香さんは2.5倍未満を基準にされており、これは色々と使えるかな?と感じました。

 また、PEGという指標も出てきます。これはPERを1株利益の成長率(営業利益や経常利益を使う場合もあります、また、3期平均を使うほうがよい記述の書籍もありますが、2期平均でも良いとする場合もあり、一定ではありません)で割って出す数値でかつて、米国の伝説のファンドマネジャーである、ピーター・リンチが活用していた指標で、1倍を割っていた場合割安、0.5倍以下なら超割安、2倍以上なら売りという指標です。

 これは最初聞いたときはなんだそれ?と思ったのですが、成長株はPERが非常に高い場合が多く、単純にPERが高いからと見送ってしまうと成長株自体に投資ができないため、この指標は活用し甲斐があると考えられます。

  この本で特に強調したかったところは売りのタイミングについてです。

 7つの売りタイミングとして局面ごとに詳細に書かれてます。

 一部紹介すると、利益確定としては2倍、3倍、4倍、10倍という倍率を達成した時がポイントです。

 もちろん10倍達成ですべてを売却するわけではなく、その後の基準も書かれていますし、ファンダメンタル面での異常が発生した場合でも売りタイミングとして書かれてます。

 また、損切ラインは明確で1年半内で終値株価が最安値となった時

とここでもやはり、株価をタイミングとしてとらえてます。買う時の逆ですね。

  銘柄分散、時間分散については5銘柄程度は買う分散投資の有効性や、買う1銘柄も数回に分けて購入できる備えをしながら慎重に買い進めることを推奨しており、単純に高くなった銘柄に飛びつけということでは全くないです。

 

 2章では実際のケーススタディが紹介されていて、3章では勝つための10の知恵が紹介されていて、4章はご自身の経験をもとに架空の登場人物が株式投資を経験する中で成長してゆくストーリーが書かれてます。

 印象に残ったのは朝香さんの重視されている指標はROAだというところです。

 今のところ、ROEについて重視する本は割と多いのですが、ROA重視は少ないです。

 もちろん、利益成長、効率よく資金を活用できているかを示す指標の一つでありますが、借入金も含めてしっかり活用できていることを表す指標はROAであるという考え方に基づいているようです。

  

   個人的な意見ですが、成長株投資を行うときに注意しないといけないのは、「会社の予想」と「現実の乖離」だと思います。

 四季報だけをスクリーニングすると年率10%以上伸びる会社はたくさん出てきます。

 また、営業利益率の高い会社もたくさん出てきます。

 一方でIPOしたての会社が悪い予想を出しているはずはなく、最初の四半期決算や中間決算程度で発表した内容をこなせないで急落するシーンもたくさん見てきました

 決算で上下するのはアルゴリズム売買の影響もあるので仕方ない面もありますが、問題は上場の際には良いことを言って出てきた会社に実績が伴わない事もしばしばみられるコトです。

それを判断する上でIPO直後の四半期決算はとても重要だと考えます。

 むしろ、本の中で高すぎる売上高の成長率よりも1%程度でもいいと書いてある個所もありましたが、その方が期待値が低いから安定した株価になるかもしれません。

 

注意

ブログでは実際に書かれていることの一部しか触れられてません、また、私の読んだ上での印象もかなり書いてあるので、もし朝香さんの手法に興味をもたれたらぜひ本書を購入の上ご参考ください。