現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究56 #外貨保険

外貨保険、リスク複雑 為替変動や割高コスト :日本経済新聞

①外貨建て保険の市場規模を表す保険料収入は、業界推計で2018年度に約4兆円(銀行経由など、一時払い型)と5年前の約2.7倍

②生命保険協会によると保険会社などに寄せられた苦情は17年度に1888件と5年前の3倍、外貨リスクや手数料についての認識が当初少なく、後で不安になるケースも多い

③満期時に外貨ベースで元本と同額になるよう設計。「元本保証」とする例が多いがあくまで外貨ベース

保険会社がドル建てや豪ドル建ての資産で10年、20年などと運用する商品が主流。運用終了(満期)後、円に戻して資産を受け取る

④運用や管理にかかるコストが高めの商品が多いことも理解しておきたい

外貨保険の場合、開示資料によると差し引かれるコストは年2.05%

⑤外貨保険でもう一つ押さえておきたいのが解約時の扱い、保険会社が販売会社に払う手数料などをまかなうための仕組みで、控除率は契約当初ほど高いのが一般的

⑥情報を十分に活用し、注意点をきちんと理解したうえで加入を判断すべき

感想

まず、記事に対する分野では、商品面で外貨運用した後に満期時に円に替えてお金を返すのが一般的とありますが、外貨で変換する商品も多いです。

途中で購入時に設定したレベルに円安が進んだ場合に増えたら円に変換して返す条件が付いている場合もあります。

次にコスト面ですが、記者が遠慮したのかもしれませんが、開示資料には運用商品のコストがパンフレットに保険関係費用と別枠で書かれている場合が多く、記事にはそこまでの記述がありません。

大体運用経費が別途引かれており、合わせると3%近くになる場合もあります。

ここでは運用利回りの表に小さく0.3%と書いてます。

過去、私も外貨保険を運用として販売した経験もありますが、反省を込めて話すと、外貨保険は記事にもあるように運用としては同じ期間の米国債社債を購入して同期間保有の方がかなり良いです。

購入するメリットは保険なので相続時に相続人数×500万円の非課税枠があり、他に生命保険金が全く入らない人がこの枠まで入る以外ありません。

保険なので相続発生時にお金を指定した人にそのまま渡せるメリットもありますが、遺言でも対応できます。

運用商品としても生命保険としてもイマイチです。

運用利回りについてですが、10年のケースで比較してますが、米国債2.3%に対して1.6%となってます。

裏側では生命保険会社が外国債を購入して運用しており、記事には無いですが、途中解約時に外国債券の価格変動部分は加入者負担になる様にしているのでリスクは背負って利回りが低い仕組みです。

正直、金融知識が少しあればリスクとリターンで見ると買わないです。

なんとなく預金、保険と聞くと安心という名前を活用して勘違いさせて加入させる金融商品です。

また、営業現場では記事にもありましたが、保険会社から販売会社にバックマージンがあることが書いてありますが、これはパンフレットによく初期費用で書いてある場合があるか、解約控除の初年度分と同様のケースが多く、高いものだと5-7%位の場合もあります。

為替リスクを説明しないのは論外ですが、コストをきっちり金額で説明すると大半の人が買わない商品です。

最後に言い方を2つ書くと

外貨保険で、生命保険の維持費用が2%、運用経費が0.3%、解約時は初年度5%、以降毎年1%減ります、途中解約時はその時の時価になるので元本リスクあります、満期時は外貨か円で選べて受け取れます。

1000万円として、

外貨保険で、生命保険の維持費用が毎年20万円、10年で200万円かかります、また、運用経費が毎年3万円かかります、解約時は初年度50万円かかります、以降毎年10万円減ります、途中解約時はその時の時価になるので元本リスクあります、満期時は外貨か円で選べて受け取れます。

と、金額で言うのは全く印象が変わります。

10年で230万円引かれるので230万円減るのが確定、利回りが例え1.6%としても160万円なので後は為替が円安にならないと固定費も賄えない結果になります。

外貨で元金を返済するのを保証してても恐らく当初購入時の外貨金額がそのまま返ってくる程度で10年という時間を無駄にしただけの結果になります。

金融機関に金額でのきちんとした説明を求めるのと同時に投資家もコストや商品を金額で理解する感覚を身につける必要があります。

あとは買わないって言うのが一番簡単かもしれません。