現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究61 #ハイブリッド債 #武田薬品 #シャイアー #実はハイイールド #格付

(ポジション)投資家、高利回りに殺到 武田ハイブリッド債5000億円 :日本経済新聞

当初金利1.72% 半額資本に :日本経済新聞

記事のポイント

 

武田薬品がハイブリッド債券を5000億円発行する

金利は当初5年4か月は国債金利を1.7%上回る1.72%で決定、その後変動金利の仕組み

③投資家の需要が非常に強い、背景には低金利下で利回りを渇望する投資家が非常に多いため

④格付は日本格付研究所(JCR)でシングルAマイナスを取得

⑤発行額の半分を自己資本とする認定を格付機関から受けている

 

ハイブリッド債券とは?

ハイブリッド債券とは債務でありながら一定比率を格付機関が自己資本であると認める形式の半分自己資本、半分債務の債券のことです。

なのでハイブリッドです。

今回の発行条件と債券の仕組み

今回の武田薬品の発行条件は満期は60年です。

会社が投資家にお金を60年の満期を待たずに返済してもよい期間が5年4か月後からスタートする設定にしています。

この満期前の償還を金融業界ではコールと呼んでおり、最初に到来した期限のコール日を初回コール日と呼んでいます。

現在まではこの初回コール日で償還されることが大半ですので事実上の満期として取り扱ってます。ただ、あくまで目安であり、必ずということではないです。

投資するメリットと発行体のメリット

投資家から

満期は60年であり、受け取れるクーポン(金利)収入は1.72%

場合によっては5年4か月で償還となる可能性が高いので

円建てでの運用としてはとても魅力的に映ります。

仮に結果として5年4か月で償還(可能性高い)すれば5年程度で1.7%を超える円建て商品となるので今の日本の低金利下ではとても高いです。

発行体から

武田薬品から見ても、債務として発行するのですが、JCRが半分の2500億円を自己資本として計算してくれるので武田薬品からすればわざわざ株を発行して調達する自己資本よりも遥かに楽に自己資本が調達できるメリットがあります。

同じ5000億円を借りるのに銀行借り入れや通常の債券発行だと全額債務になるので格付が下がるリスクもありますが、ハイブリッド債券だと半分自己資本となるので会社の財務内容が帳簿上悪くならないので格付が下がらないことになります。

コールの取り扱い

なぜ5年4か月で償還の可能性が高いかというと初回コール日を過ぎると自己資本としてカウントされる比率が下がるからです。

JCRはコール日以降は25%分しか自己資本に認めなくなります。

(今回の格付けに入ってませんがスタンダード&プアーズはコール後の自己資本算入比率は0%です)

そうなると、武田薬品としては5000億円が当初2500億円自己資本、2500億円債務となっていたのが、1000億円自己資本、4000億円債務となる扱いに変わるためバランスシートの見栄えが悪くなります。

よって新たに別にハイブリッド債券を発行して既存の債券は償還して投資家に返金し、新しいハイブリッド債券を購入してもらったほうが良いことになり、各企業同様の行動に出ることが多いです。

ただ、コールによる償還はあくまで発行体の武田薬品の権限であり、もし、コールをかけなかったら続くことには注意が必要です。

格付と金利

格付についてですが、ハイブリッド債は半分が自己資本になる計算を行う性格上格付けは本来ある企業の格付よりも下で発行されます。

また、企業が倒産した際の弁済順位も大まかにいうと株式の少し上に位置づけされており、倒産した際の弁済順位は低いです。

武田薬品のホームページだと現在日本格付研究所(JCR)は会社に対してはシングルAプラスの格付けを与えており、今回のハイブリッド債はシングルAマイナスなので2段階引き下げた水準での発行となります。

注意点およびリスクについて

格付に関しての注意点ですが、各付を付与する機関は世界に複数あり、企業は発行の際に格付を付与してくれる機関を選べます。付けなくても発行できます。

武田薬品のホームページによると武田薬品の会社そのものを格付している格付機関は4社です。

ムーディーズ Baa2

スタンダード&プアーズ BBB+

格付投資情報センター(R&I)A

株式会社 日本格付研究所(JCR)A+

で各社ばらばらです。

ただ、世界の格付け大手は3社で米ムーディーズ、米スタンダード&プアーズ、イギリスのフィッチで、この3社の格付が事実上世界標準となっており、発行する際の金利を決める時もこの3社の格付を参照して決まります。

今回JCRのみが格付を付与しており、A-と言われると高く見えますが、恐らくムーディーズに頼むと2段階下のBa1となるのでこれは世界的には投資不適格、すなわちハイイールド債券に分類されます。

クーポン1.72%は事実上このBa1に準じて発行されているとみていいと思います。

なぜそう考えるかというと4月に発行の2025年4月満期のソフトバンク6年債が1.64%で決定されており、ソフトバンクの格付はBa1だからです

スタンダード&プアーズだとBBB-でかろうじて投資適格を維持できる水準かと想定されます。

なぜ、このような違いが出るかですが、これは私見ですが、格付機関の力の差によると考えられます。

格付機関は格付を付与する企業から手数料をもらっているため、力が弱いと悪いことは書きにくい現実があります

今回武田薬品がJCRを選んでA-と一見高い格付をハイブリッド債券に付与させたのは販売促進の意味合いがあるのでは?と思います。少しずるい気がします。

ムーディーズに頼むとBa1で販売上印象が悪いです。

しかし、金利水準は世界標準に合わせないといけない現実があるため1.72%と高くなってしまった訳です。

また、初回コールで償還されるというのはあくまで慣例であり、可能性は高いものの契約上は必ず償還されれるということではありません。

武田薬品は今までは財務内容が健全な企業で有名でしたが、シャイアーを460億ポンド(買収当時は約6.8兆円)で買収し、有利子負債が1兆円程度でムーディーズの格付がA2だったのが、買収後有利子負債5兆円超、ムーディーズは格付をBaa2と3段階下げられました。今後シャイアーが利益貢献しくれると格付けの改善もあり得ますが、ない場合は非常に経営が厳しくなります。

今回のハイブリッド債券がムーディーズからみると投資不適格になる可能性が高い債務であることも念頭に置いたほうが良いと思います。

格付機関がどこ?はかなり重要です。

 

 

 

 

日々の投資手法研究60 #JDI

JDIに官民ファンドが追加支援 米アップルも支援:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45456110Q9A530C1I00000/

支援内容

INCJが借入金450億円をJDI関連会社株式と相殺

INCJ保有債権1020億円を優先株に転換

アップルは前受金の返済一部くりのべ

台中3社連合は最大800億円金融支援

です。

感想

ジャパンディスプレイの30日の発表資料を見てみました。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6740/tdnet/1715235/00.pdf

 

今だと2020億円の借入金が553億円になります。

447億円を代物弁済、これは関連会社JOLEDの株式でINCJに払います1020億円を優先株式に転換して大幅に減額します。

また、借入金も500億円はINCJが5年満期の借入金に振り替えます。

その他は劣後特約付貸付53億円なので資金繰りが大幅に改善します。

有利子負債をINCJが全額丸々株や長期債務に振り替える大規模支援です。

台湾TPKと中国の投資会社ハーベストテックからなるSuwaホールディングスから普通株式で420億円、転換社債で、380億円支援受け入れで自己資本が1440億円に大幅に改善します。

台中勢傘下と言われてますが、一応議決権割合は49.8%と過半数にはしなかったようです。

今後ですが、2019.3のキャッシフローでは営業CFが61億円赤字、投資CFが378億円赤字、財務CFが317億円黒字です。

財務CFの中には債務返済を株式発行と短期借入金で賄っていたため非常に厳しかったので資金繰りが改善するので後は営業CFの黒字化が出来ればかなり回復します。

また、営業利益が四季報予想だと元々は2020.3が250億円の赤字予想です。

株式としては?

倒産が回避されたので買える株になりつつあります。

まずは7月、10月の四半期決算でどこまで赤字を縮小できるかです。

まずは打診買い、次は決算の発表を見ながら業績が改善傾向なら随時追加、来年黒字化すれば上昇が見込めます。

次にどんな手を打つかじっくりみてゆっくり買い付けで良いと思います。

逆に改善傾向が見られ無いなら売却です。

日々の投資手法研究59 マンションPER、PBR

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO45432360Z20C19A5QM8000/

分譲マンションに割高感、日本経済新聞

①東京カンテイによると、2018年はマンションの平均価格が前年比1割上昇し過去最高を更新

②マンションPERが25倍程度で2000年の調査開始以来最高

③駅から徒歩20分以内の同じエリアで3年未満の物件を対象に物件価格➗一年分の賃料で出すのがマンションPER

20倍なら利回り5%に相当

感想

私は証券会社にいて、株式の割高割安を表す指標の一つとしてPERを使いますが、マンションPERという指標があるのは恥ずかしながら知りませんでした。

家賃が一定であるという前提の指標ですので変われば倍率も変わりますが目安として役に立つと思います。

というのが、不動産価格はなんとなくで高い、安いを決めているような気がします。

なので、指標があるとわかりやすいです。

この指標を取り上げている記事を過去から取り上げてみました。

 

https://www.sumai1.com/useful/plus/market/plus_0081.html

 

これによると色々な測り方はありますが50倍程度もあれば10倍台まで色々あります。

また、資産価値から測るマンションPBRもあり、株式的な見方で見るのは面白いと思いました。

 

https://smtrc.jp/useful/knowledge/market/2014_01.html

 

私は不動産の素人ですが、この指標を株式投資家として活用するなら以下のように考えます

信託銀行の見解とはやや違います、あくまで私の株の見方に沿ってます。

PBRが低い、PERも低いー何か別の問題があって評価されていない可能性がある、仮に売却する場合は損をするか売れないリスクを背負う、ただ、原因が何かを考えてそれが我慢できるなら賃貸として住むなら良い。

PBRが低いがPERは高いーこれから家賃の伸びが見込まれ、価格上昇期待、長期投資での投資対象。しばらく住んで売却か。

PBRが高く、PERが低いー賃料上昇期待が低いか下がる傾向で、投資対象としても。賃貸対象としても期待がしにくい、様子見。

PBRが高く、PERも高いー環境変化によっては大幅下落リスクを背負う可能性あるも、人気エリアで今後も賃料も物件価格も上昇する可能性あり、賃貸には不向きだが短期で売りぬけるには良い。短期売買対象。

不動産は物件金額も大きいしすぐに売買しにくい所もありますが、株式としてみるとこう見ます。

この中では選択肢はPBRが低いがPERが高い地域の物件を買って、上昇を狙う戦術かなと思います。

もちろん株と同じで人口が増えるか、都心へのアクセス等を考えて将来性を検討する必要がありますが、多少PER高くても購入して良いと思います。将来家賃に強気な地域と考えられます。

もちろん環境も大切です。

また、できれば対象地域の過去からの各指標の推移も見たいです。

それぞれが上昇傾向だと良いと思います。

 

 

 

日々の投資手法研究58 #訪日客消費 #インバウンド #GDP #地方創生 #サービス低下

訪日客消費、地方潤す 東京超える1.8兆円 44道県の昨年 広域連携で誘致結実 :日本経済新聞

記事について

観光庁がまとめた訪日消費額は4.8兆円と推計、東京が約1.8兆円、大阪約0.8兆円、京都約0.3兆円とゴールデンルートの消費額が約3兆円と圧倒的

②ただ、その他44道県の消費額が大幅に伸びてきており、1.8兆円に到達

名古屋空港から北陸に向かう「昇竜道」(9県で3240億円と3年で41%増)や瀬戸内沿岸の「SETOUCHI」(7県で1585億円と3年で78%増)など新しいルート作りが効果が出てきている

感想

前回の日々の投資手法研究で金融機関、特に地方銀行の苦悩を描きましたが、インバウンド消費は解決策の一つになると考えられます。

総消費額4.8兆円は日本のGDP約560兆円の0.9%、個人消費がGDPの55%の日本においては個人消費額の1.5%に相当します。

日本の経済成長率が毎年1-2%程度なことを考えるといかに巨大か、そして今後ももっと積極的に受け入れるべき対象だと思われます。

なぜか、答えは明快です。

日本は少子高齢化で人口減少は止まらない、消費は減ります、しかし、観光客はお金を落としてくれるし、それに対応した施設もいるし、雇用も生まれる。しかも都会ではなく地方にです。

日本人の後ろ向きな意見としては毛嫌いする人もいますが、地元を再生させる気持ちがあるならば乗るべきだと考えます。

これに銀行融資も行いやすくなります。

最近では外国人が日本人以外に日本の魅力を発掘し、我々では観光地でなかったか所が急に観光地化する現象まで起きてます。日本人こそ住んでいる日本の魅力再発見に努めるべきです。

課題

しかし、沢山受け入れるのは良いですが、課題もかなり多くあります。

京都などいわゆる観光地で起きていることとしては、

「ガイド役の不足、交通手段の不足」などがあげられます。

こうした目に見えるインフラ不足の早急な解消が望まれます。

また、受け入れる日本人の意識改革も求められます。

だまっていてもお客さんが来てくれる状況が続くため「サービスの低下」が目立ちます。

日本人はアジア人に対して過去の歴史から日本のほうが進んでいる、だからある程度低いレベルの接客やインフラ、食事でも大丈夫と勘違いしている人が一定数、しかも結構多数存在します。

例えば私が個人的に聞いた話だと、大阪のある有名なすき焼き店があり、高級店で外国人も多く来店しているそうです。

そこに昔から通う日本人の常連のお客さんが、予約を取っていくと高級肉が出てきて応対もよいのですが、その方が友人と急に訪問することになったため、予約を取らず、何も言わずに外国人客に交じって店に行くと肉は普段の常連客に出す肉と別のレベルダウンした肉を出しており、サービスも悪く、クレジットカードお断り(店員が機械を使えないから面倒で断っている様子、機械はレジにあった)と最低のサービスだったとの話をその方から聞いたことがあります。

その方は昔からの常連でしたが、実態を見て外国人に対して失礼だと嘆くとともに2度と行かないともおっしゃってました。

お店は一時外国人向けの案内で有名になったものの、驕ったために常連客も消え、外国人もこれではリピーターは来ないでしょう。近いうちに閑古鳥が鳴くことになると思われますが、店主は今が儲かるから気付いてないのでしょう。

これはほんの一例ですが、実際日本に来てがっかりして帰る外国人はかなり多いのではないでしょうか

 

外国人から見ると日本以外にも日本と同等かそれ以上の観光地は世界各地に沢山あります。また、日本にやってきている外国人は日本人より所得が高く、母国でも、海外でも上級のサービスやもてなしを受け、目の肥えている人々が数多く含まれていると思います。

食事の質がどの程度で、接客レベルがどの程度なのか一発で見抜いていると思います

2度と失礼な対応をした店にはいかないし、日本に2度と来なくなるかもしれません。

 

最近の報道では、良い取り組みやリピートの特集などがあり、私も希望を持ってみていますが、放っておいても観光客がやってくる今の状況に胡坐をかくと、かつて地方の観光地が同様のことを行い、結果飽きられて旅館やホテルがどんどん倒産した歴史の繰り返しにならないようここでもう一度日本人総がかりでチェックを行う必要もあります。

これを繰り返して成功すれば金融だけでなく、日本再生の大きな起爆装置の一つになると考えます。

逆にこの大きなチャンスを生かせない時はただの衰退国家に成り下がると思います

ぜひ生かしたいものです。チャンスは2度とやってきません

 

日々の投資手法研究57 #銀行 #運用 

 

記事紹介

 

銀行、リスク運用に走る 外債買越額8年ぶり高水準 投信・REIT、5年で3倍に 超低金利 貸し出し不振続く :日本経済新聞

①日本の銀行が預金で運用する姿勢を強めている

②外債投資は買い越し額が2018年は6.6兆円と8年ぶりの大きさ

三菱UFJFGはグループで21.5兆円、三井住友FGは9兆円保有

③株式や外債などで運用する投資信託は2月末で全体で18.5兆円保有

④不動産REITは2.4兆円保有

市場の動きによっては大きな損失リスクを抱えながらの運用が続く

 

感想

 

金融機関の行き場のない資金が運用に回っている実態が書かれてます。

投信保有残高は2013年3月に5兆円程度だったのが2019年2月に18兆円を超える

水準までになっています。

考えられる背景

 

①貸出需要が無い、もしくは掘り起こせていない

②高齢化を迎えて消費が抑制されている中預金は増え続けている

③異次元緩和の長期化により貸出金利が大幅に低下、貸倒を恐れると融資がしにくい

④運用面でも10年国債の利回りがマイナスとなるなど、安全資産の運用先が減っている

結果銀行が大量に行き場のない預金を抱え込む形となり、外債、投信、REIT等への大量運用の結果になっていると考えられます。

また、銀行は本業の貸出で利益を上げられないので貸出に積極的ではなく、預金を減らすためにリスク性資産を個人や企業に販売する証券会社化がどんどん進行しており、貸出を行ったことのない銀行員も大量にいる状況です。

 

今後の想定される状況

 

今後ですが、考えられることや対策ですが、大手都銀と国内銀行で別れると思われます。

大手都銀に関しては国内業務の縮小、証券会社化の推進、海外業務への積極進出が考えられます。

ただ、これにも課題はあって証券会社自体が野村證券の苦境に代表されるように対面型の証券会社が今までの「金融商品販売会社」だけでは生き残れない状況にあり、手数料をネットより高くとるためには「資産運用コンサルティング会社」への脱皮に向け社員の再教育が必要です。

海外については海外で日本企業はいざ知らず、海外企業が相手となると、ドル資金を大量に保有する必要がありますが、邦銀は円預金を大量に保有していて、これを米ドルに換えて米ドルを調達する必要があります。

為替リスクをどんどん取ってよいわけではないので為替ヘッジを行いますが、日米金利差がある分コストはかかります。よって米銀に比べると利幅が薄くなってしまいます。

国内専業の銀行はもっと深刻です。

まず、地方になると、過疎化が加速しているため新しい企業が伸びない現実があります。よって貸出先が無いため結果としてスルガ銀行事件のように不動産融資にのめりこむ銀行も出てしまいます。

また、証券会社化についても預金者自体が高齢者の場合が多く、これは証券会社の職員でも対応についてはコンプライアンス面などでも高度な対応が求められます。

今までやってなかった所からいきなり高度な知識や対応の所に職員が飛び込まされるわけです。

会社四季報を見ていると、殆どの銀行がコメント欄に、投信販売手数料、保険販売手数料、運用成績、カードローンなどおよそ企業の事業融資と関係ない分野の成績が業績を左右している実態が目立ちます。

 

個人的に考えた解決策

考えられるのは、

①新興のフィンテック企業と組んで過去の蓄積した顧客データをもとに詳細な顧客企業の分析を行い、必要なところにもっとリスクを取って融資を行う。

②地元のベンチャーと組んで新しい産業を興す

で貸出を少しでも増やせるよう努力する一方で

③預金から投資への流れを起こすために「お金の教育」を顧客に純粋に行う

④全て自前で行うことはせず、資産運用については外部業者への委託なども積極的に行う

だと考えられます。

今のままでは銀行はどんどん厳しくなると想定されます。

預金は流動性を保てないといけないので長期での運用に不向きです。

よって短期の運用に縛られるためパフォーマンスが安定しません。

また、毎期時価で決算を行わないといけないため金利や為替、株価に業績が毎年左右されます。下手をすると自己資本が不足する事態になりかねません。

よって運用するべき資産を適正な水準に減らすためには預金を減らす努力(適正な資産運用へ振り向ける)と貸出額を増加させる必要があります。

また、国も法律や指導で金融機関を締め付けるだけではなく、顧客の教育や投資行動を変えるには時間がかかるので、時価評価の一時停止や銀行経営を支えるための一時的な公的資金投入も検討するべきだと思います。

また、預金者も銀行員が本当に運用相談に足る教育レベルなのかを見極められる知識がある程度必要です。

といっても知識がある程度ついてしまうと、預金で溜め込むことが、銀行の破たんリスクがあるのに殆ど金利がつかない、リスク商品だという現実がわかるので預金に置くことはしなくなると思われます。

対策を早くとらないと、今度は運用財産が毀損した時に自己資本維持のために貸出を抑制する行動に出る可能性も将来考えられるのでそうなると悪循環です。

早めの対策が必要だと考えます。

 

No.13改訂 #まずは2倍株で勝つ #朝香友博 #アールズ出版

 

著者紹介

 

朝香友博さん

本が書かれたのは2014年2月です。この前の4年間で6つの10倍株をヒットさせ、投資プロマガランキング1位を獲得したブログ「大化け株投資のすすめ」を主宰。

年間500社に及ぶ企業の売り上げ拡大や見本市を中心とした市場開拓を支援なさっているクリエイターでもあります。

立教大学卒業後に政治家の私設秘書、中国の上海交通大学留学、米国の産業PR会社就職、インド株投資家にもなり、多彩な活動を行われています。

 

全体を読んで凄いなぁと感じたところはこの手法はアベノミクスが始まる前の2010年から2012年の時にテンバガーを実現している銘柄をいくつも発掘しているところです。

また、銘柄分散、時間分散もしっかり行って投資するので負ける確率は非常に低いのではないだろうかと感じます。 

目次と感想

はじめに

第1章 必要最低限だけでいい「テンバガー(10倍株)運用」入門

第2章 まずは2倍株で勝ち、10倍株を目指す売買ケーススタディ

第3株 株投資で勝つための10の知恵

第4章 ストーリーで学ぶ「テンバガー」10倍株運用入門

あとがき

です

 

 最初にいきなり出てくる文章は

「10倍株より2倍株が大事」です。

 趣旨は「10倍株になるまでずっと待つのではなくて、2倍になった時点で、一部を利益確定しておくことが大事」ということです。

 前回出版の「テンバガー10倍株で勝つ」では利益の確定水準や撤退するときの水準を書いてはいたものの、10倍の言葉だけが強烈に残ってしまって利益確定できないまま損失を起こしてしまう読者の方が出てしまったからだそうです。

 資産を10倍にするのと10倍になるまで株を保有するのはイコールではないという事です。

 1銘柄だけを投資していきなり10倍、100倍を狙うだけの取引はギャンブルになってしまうので本書で「忙しい方が週末だけでもできる賢明な株式運用の投資法」の本を書こうとなさったそうです。

 

 この点について、私も経験があります。

 数か月で4倍程度になった時にもっともっと上がるはずだと考えて保有したまま四半期決算を迎えて実はあまりいい決算が出なくて下落、結局5割増くらいのところで売却して、何とか難を逃れた経験があります。

 2倍で利確、3倍で利確と順繰り売却しておけば・・・と後悔してます。

 第1章でいったいどんな特性の株式にどんな視点を持って臨むかが詳細に書かれています。

 ここでは全てを書く訳にはいきませんが、とてもシンプルで分かりやすいです。

 まず、株式には成長株と景気敏感株、テーマ株、トレンド株、ボロ株、低位株などがあり、朝香さんは成長株と景気敏感株に主に注目し、テーマ株やトレンド株は詳しくて先回りできるならばと限定的、ボロ株、低位株は触らない方針です。

 成長株と景気敏感株を分けてそれぞれどのような株式を狙うかも詳しく書かれています。

 基本はこの1年半で最も終値が高く、勢いの強い株価であること、その上で時価総額や売り上げの伸び、予想営業利益、株主構成、四季報判断、営業キャッシュフローの状態、PSR等の指標から判断して割安かどうか、買えるかどうかをチェックなさってます。

 この中で一部紹介すると、PSRという指標についてです。時価総額を売上高で割った指標ですが、基準が曖昧なため使いづらい指標です。しかし、朝香さんは2.5倍未満を基準にされており、これは色々と使えるかな?と感じました。

 また、PEGという指標も出てきます。これはPERを1株利益の成長率(営業利益や経常利益を使う場合もあります、また、3期平均を使うほうがよい記述の書籍もありますが、2期平均でも良いとする場合もあり、一定ではありません)で割って出す数値でかつて、米国の伝説のファンドマネジャーである、ピーター・リンチが活用していた指標で、1倍を割っていた場合割安、0.5倍以下なら超割安、2倍以上なら売りという指標です。

 これは最初聞いたときはなんだそれ?と思ったのですが、成長株はPERが非常に高い場合が多く、単純にPERが高いからと見送ってしまうと成長株自体に投資ができないため、この指標は活用し甲斐があると考えられます。

  この本で特に強調したかったところは売りのタイミングについてです。

 7つの売りタイミングとして局面ごとに詳細に書かれてます。

 一部紹介すると、利益確定としては2倍、3倍、4倍、10倍という倍率を達成した時がポイントです。

 もちろん10倍達成ですべてを売却するわけではなく、その後の基準も書かれていますし、ファンダメンタル面での異常が発生した場合でも売りタイミングとして書かれてます。

 また、損切ラインは明確で1年半内で終値株価が最安値となった時

とここでもやはり、株価をタイミングとしてとらえてます。買う時の逆ですね。

  銘柄分散、時間分散については5銘柄程度は買う分散投資の有効性や、買う1銘柄も数回に分けて購入できる備えをしながら慎重に買い進めることを推奨しており、単純に高くなった銘柄に飛びつけということでは全くないです。

 

 2章では実際のケーススタディが紹介されていて、3章では勝つための10の知恵が紹介されていて、4章はご自身の経験をもとに架空の登場人物が株式投資を経験する中で成長してゆくストーリーが書かれてます。

 印象に残ったのは朝香さんの重視されている指標はROAだというところです。

 今のところ、ROEについて重視する本は割と多いのですが、ROA重視は少ないです。

 もちろん、利益成長、効率よく資金を活用できているかを示す指標の一つでありますが、借入金も含めてしっかり活用できていることを表す指標はROAであるという考え方に基づいているようです。

  

   個人的な意見ですが、成長株投資を行うときに注意しないといけないのは、「会社の予想」と「現実の乖離」だと思います。

 四季報だけをスクリーニングすると年率10%以上伸びる会社はたくさん出てきます。

 また、営業利益率の高い会社もたくさん出てきます。

 一方でIPOしたての会社が悪い予想を出しているはずはなく、最初の四半期決算や中間決算程度で発表した内容をこなせないで急落するシーンもたくさん見てきました

 決算で上下するのはアルゴリズム売買の影響もあるので仕方ない面もありますが、問題は上場の際には良いことを言って出てきた会社に実績が伴わない事もしばしばみられるコトです。

それを判断する上でIPO直後の四半期決算はとても重要だと考えます。

 むしろ、本の中で高すぎる売上高の成長率よりも1%程度でもいいと書いてある個所もありましたが、その方が期待値が低いから安定した株価になるかもしれません。

 

注意

ブログでは実際に書かれていることの一部しか触れられてません、また、私の読んだ上での印象もかなり書いてあるので、もし朝香さんの手法に興味をもたれたらぜひ本書を購入の上ご参考ください。

 

 

日々の投資手法研究56 #外貨保険

外貨保険、リスク複雑 為替変動や割高コスト :日本経済新聞

①外貨建て保険の市場規模を表す保険料収入は、業界推計で2018年度に約4兆円(銀行経由など、一時払い型)と5年前の約2.7倍

②生命保険協会によると保険会社などに寄せられた苦情は17年度に1888件と5年前の3倍、外貨リスクや手数料についての認識が当初少なく、後で不安になるケースも多い

③満期時に外貨ベースで元本と同額になるよう設計。「元本保証」とする例が多いがあくまで外貨ベース

保険会社がドル建てや豪ドル建ての資産で10年、20年などと運用する商品が主流。運用終了(満期)後、円に戻して資産を受け取る

④運用や管理にかかるコストが高めの商品が多いことも理解しておきたい

外貨保険の場合、開示資料によると差し引かれるコストは年2.05%

⑤外貨保険でもう一つ押さえておきたいのが解約時の扱い、保険会社が販売会社に払う手数料などをまかなうための仕組みで、控除率は契約当初ほど高いのが一般的

⑥情報を十分に活用し、注意点をきちんと理解したうえで加入を判断すべき

感想

まず、記事に対する分野では、商品面で外貨運用した後に満期時に円に替えてお金を返すのが一般的とありますが、外貨で変換する商品も多いです。

途中で購入時に設定したレベルに円安が進んだ場合に増えたら円に変換して返す条件が付いている場合もあります。

次にコスト面ですが、記者が遠慮したのかもしれませんが、開示資料には運用商品のコストがパンフレットに保険関係費用と別枠で書かれている場合が多く、記事にはそこまでの記述がありません。

大体運用経費が別途引かれており、合わせると3%近くになる場合もあります。

ここでは運用利回りの表に小さく0.3%と書いてます。

過去、私も外貨保険を運用として販売した経験もありますが、反省を込めて話すと、外貨保険は記事にもあるように運用としては同じ期間の米国債社債を購入して同期間保有の方がかなり良いです。

購入するメリットは保険なので相続時に相続人数×500万円の非課税枠があり、他に生命保険金が全く入らない人がこの枠まで入る以外ありません。

保険なので相続発生時にお金を指定した人にそのまま渡せるメリットもありますが、遺言でも対応できます。

運用商品としても生命保険としてもイマイチです。

運用利回りについてですが、10年のケースで比較してますが、米国債2.3%に対して1.6%となってます。

裏側では生命保険会社が外国債を購入して運用しており、記事には無いですが、途中解約時に外国債券の価格変動部分は加入者負担になる様にしているのでリスクは背負って利回りが低い仕組みです。

正直、金融知識が少しあればリスクとリターンで見ると買わないです。

なんとなく預金、保険と聞くと安心という名前を活用して勘違いさせて加入させる金融商品です。

また、営業現場では記事にもありましたが、保険会社から販売会社にバックマージンがあることが書いてありますが、これはパンフレットによく初期費用で書いてある場合があるか、解約控除の初年度分と同様のケースが多く、高いものだと5-7%位の場合もあります。

為替リスクを説明しないのは論外ですが、コストをきっちり金額で説明すると大半の人が買わない商品です。

最後に言い方を2つ書くと

外貨保険で、生命保険の維持費用が2%、運用経費が0.3%、解約時は初年度5%、以降毎年1%減ります、途中解約時はその時の時価になるので元本リスクあります、満期時は外貨か円で選べて受け取れます。

1000万円として、

外貨保険で、生命保険の維持費用が毎年20万円、10年で200万円かかります、また、運用経費が毎年3万円かかります、解約時は初年度50万円かかります、以降毎年10万円減ります、途中解約時はその時の時価になるので元本リスクあります、満期時は外貨か円で選べて受け取れます。

と、金額で言うのは全く印象が変わります。

10年で230万円引かれるので230万円減るのが確定、利回りが例え1.6%としても160万円なので後は為替が円安にならないと固定費も賄えない結果になります。

外貨で元金を返済するのを保証してても恐らく当初購入時の外貨金額がそのまま返ってくる程度で10年という時間を無駄にしただけの結果になります。

金融機関に金額でのきちんとした説明を求めるのと同時に投資家もコストや商品を金額で理解する感覚を身につける必要があります。

あとは買わないって言うのが一番簡単かもしれません。