現役金融マンM氏の金融・投資本研究

投資に関する情報・書籍の感想を発信しています。投資に関する書籍は著者によってスタイルは様々です、私のブログがきっかけで本を読み、独自の投資スタイルを学ぶきっかけになればと思い始めました。

日々の投資手法研究50 #ライザップ

ライザップ瀬戸社長に聞く 黒字未達なら「辞任の覚悟」 :日本経済新聞

 

記事のポイント

RIZAPグループの2019年3月期連結決算(国際会計基準)は最終損益が193億円の赤字(前の期は90億円の黒字)だった

買収した企業の再建がうまくいかず大幅に損失処理を行ったのが原因

②「今期、営業黒字化できなければ私は辞める覚悟でやっていく」と瀬戸社長

③本業のジム事業は好調維持

株探のライザップ記事

RIZAPグループ【2928】、今期最終は黒字浮上、2期ぶり1円で復配へ | 株探ニュース

事前には最終利益70億円の赤字予想が193億円に拡大しました。

さて、ここでライザップってCMでは良く知ってますが、グループとなるとどんな会社があってその関連企業はどんな業績なのか、また、2020.3黒字化は実現しそうなのか、もし黒字化するのであれば買える株になるのかを考えてみました。

 

まず、ライザップグループ企業一覧です

コード 銘柄名 株価

時価総額

(百万円)

保有比率

(%)

特色
3140 イデアインター 1023 15055 48.3 インテリア雑貨や旅行用品等の企画、卸・小売
3185 夢展望 399 4687 69.2

10〜30代女性向けの衣料品ネット販売

3344 ワンダーコーポ 744 5624 75 ゲームソフト、CD、文具販売、中古販売
4650 SDエンター 425 3823 59.3 元北海道ボウリング、フィットネス集中へ
4833 ぱど 206 4120 71.1 無料情報紙を発行
7448 ジーンズメイト 358 5764 57.1 ジーンズ中心のカジュアル専門チェーン
7577 HAPiNS 201 3015 69.3

インテリア雑貨・生活雑貨専門店を全国展開

8105 堀田丸正 85 5069 58.6 和装、寝装、洋装、意匠撚糸販売
9980 MRKHLD 187 18942 54.2 女性用体型補整下着、化粧品、サプリ等販売
           
2928 RIZAPグループ 272 151291    

以上で本社以外に9社の上場会社があります

RIZAP、赤字193億円 前期最終、構造改革費膨らむ 既存店の会員増カギ :日本経済新聞

この記事を読むとライザップの本業のジム事業は

会員数は13万人と2.4万人増加、売上は413億円と前期比26%増加とかなり好調です。痩せたい、鍛えたい、「結果にコミット」はここではきちんと機能してます。

しかし、なんでこんな赤字になったんだ?と思い、まず、単純に関連企業の決算をだしてみます。

銘柄コード 銘柄名   売上 営業利益 経常利益 最終利益 一株利益 一株配
3140 イデアインター

連19.6予

14,600 680 480 300 20.9 4
3185 夢展望  19.3実

6,917

-179 -253 -268 -23.7 0
3344 ワンダーコーポ

連19.3

72,117 453 451 -5,159 -695.8 0
4650 SDエンター

連19.3

7,038 -204 -324 -190 -21.3 0
4833 ぱど

連19.3

7,997 -197 -172 -523 -27 0
7448 ジーンズメイト

単19.3

8,579 91 105 19 1.4 0
7577 HAPiNS

単19.3

9,706 133 64 -57 -3.9 0
8105 堀田丸正

連19.3

6,665 -437 -419 -465 -8.3 0
9980 MRKHLD

連19.3

18,540 381 272 -1,856 -18.3 1
    単純合計 152,159 721 204 -8,199    

イデアだけは予想数字は四季報予想数字を使ってます。

単純に合計すると1500億円以上の売り上げがあるものの80億円以上の損失を計上しており、グループに貢献していません。

親会社の決算に合わせて下方修正を6社が出してます。

堀田丸正、MRKホールディングス、SDエンターテイメント、HAPiNS、夢展望、ワンダーコーポです。

下方修正前の純利益と下方修正後の純利益では約48億円損失が膨らんでました。

理由は、様々ですが、本業の不振に伴い、含み損を一掃したという理由が目立ちます。

では、今後の予想ですが、以下の通りになります。

銘柄コード 銘柄名   売上 営業利益 経常利益 最終利益 一株益
3140 イデアインター

連20.6予

15,500 800 640 400 27.9
3185 夢展望

会20.3予

9,184 190 105 83 7.1
3344 ワンダーコーポ

会20.3予

61,082 1,510 1,470 781 103.3
4650 SDエンター

会20.3予

4,800 160 130 70 7.8
4833 ぱど

会20.3予

12,650 115 110 65 3.3
7448 ジーンズメイト

会20.3予

8,850 175 185 85 5.3
7577 HAPiNS

会20.3予

9,760 310 240 10 0.7
8105 堀田丸正

会20.3予

6,445 40 33 4 0.1
9980 MRKHLD

会20.3予

21,100 513 396 208 2.1
    単純合計 149,371 3,813 3,309 1,706  
               
2928 RIZAPグループ

会20.3予

225,000 3,200 1,800 500 0.9

一応、全社黒字化ということになってます。

イデアインターだけ決算時期が違って四季報予想、その他は会社予想でとってます。

では、その実現可能性ですが、四季報コメントと、私なりの要約をしてみました。

銘柄コード 銘柄名 コメントと要約
3140 イデアインター バック子会社フル寄与
3185 夢展望 宝飾子会社買収
3344 ワンダーコーポ 3年連続赤字、ただリユース底堅い
4650 SDエンター 保育園、オンラインクレーンゲーム
4833 ぱど 移住事業、継続前提に重要事象
7448 ジーンズメイト 訪日客需要旺盛、継続前提に重要事象
7577 HAPiNS 売り場改革、継続前提に重要事象
8105 堀田丸正 原料自社調達など経費低減
9980 MRKHLD 店舗増へ積極投資
     
     
2928 RIZAPグループ 経費50億円削減

 

ちょっと目立つのが「継続前提に重要事象」で3社が該当します。

また、ワンダーコーポは関連会社で一番回復予想ですが、ここ3年連続赤字なため本当に信用していいのかが私なりに疑問です。

イデア堀田丸正は業績的に問題は感じられませんでした。

あとは、今期の業績コメントに本業の縮小が目立つ記事が多く(イデアインターだけ例外です)、本当に会社予想を達成できるのかが不透明だと感じます。

SDエンターなどはおよそ現在の事業と関係なさそうなところに投資を行うのでやや不安を感じます。

総じて関連会社の回復に対しては不安を感じます。

また、グループ本社のRIZAPですが、50億円の経費削減で最終利益5億円なのでこれも黒字化するのかは関連会社の寄与がカギだと思われます。

また、黒字化しても1株利益が0.9円なのでPER300倍とかなり割高になります。

ちょっと長い目でみて、本当に子会社の業績が一つ一つ実績を会社予想通りにあげられるのかよく見てからでないと投資しにくいなぁと感じられる内容でした。

No.11改定 #ずばぬけた結果の投資のプロだけが気づいていること #苦瓜達郎 #幻冬舎新書

 

著者紹介

苦瓜達郎さん

大和住銀投信投資顧問のシニア・ファンドマネージャー

1990年東京大学卒業、2003年以降中小型ファンドの運用にかかわる

2012年から2017年の6年連続で「R&Iファンド大賞」「国内中小型部門」で「最優秀、優秀ファンド賞」受賞。

2017年10月に書かれている本です。

目次及び内容について

はじめに

第1章 株式市場とは何物なのか

第2章 誰にも開陳したことがない私の投資哲学

第3章 「すごい会社」はこうして見つける

第4章 中堅企業はこんなにおもしろい

第5章 「苦瓜式」銘柄・情報整理術

おわりに

となっています

 

まず、全体を読んだ印象としては「さすがファンドマネージャー」と感じました。

株式市場と20年近く運用の世界で株式と対話しながら生きてきた人の書いた本であってもはや株式を人間の様に扱っているような印象です。

例えば

株式市場は経営者にとっても株主にとっても「横暴な上司」

と書いていたりもはや株式は人間です。

その他株式市場は「下品で間違いだらけ」「行き過ぎた株価上昇」を抑える装置はない

と、株価自体は常に会社の状態と違う状況にあるのが普通なんだという考え方に立ってみていることを示しています。

しかし、

「株式市場は人間の「業」を映し出すもの、否定すべきものではない」とし、

「企業が得た利益を分配する装置」「間違いを犯しても修正される引力を持つ」

リーマンショックのような株価が暴落する局面を恐れても仕方ない、長い目でみればいずれ戻るもの。」

とも書いてあり、株式が本当に好きで、とても信頼しているのが伝わってきます。

専門は中小型株で、「知名度がないだけ」「偏見から低い評価」な会社が多く、投資チャンスの宝庫だと書いてあります。

著者は年間900回以上企業訪問を行うそうです。

これはとてもすごいことです。私も証券会社で営業ですが、900回も訪問してません、というか出来ないです。

毎日3-4件アポイントが入らないといけないし、まとめないといけないのでかかりっきりでないと厳しいです。

それに、会社の経営者やIR担当も忙しいので一人だけに時間を割くわけにはいきません。

苦瓜さんが投資先企業からとても信頼されているからこそできることなんだろうと感じます。

投資スタイルは非常にシンプルで、企業価値を算出してひたすら長期投資を前提にしています。

 「5年でも10年でも持ち続けられる信念をもって銘柄を選び、保有できるか」

「売買タイミングは一切考えない。」

「株価がさらに大きく下がらなければよい。いずれ適正な株価に戻ったら売る。いつ株価が戻るかも、株価上昇の理由も問わない。」

と書いてあり、ちょっと乱暴じゃないの?なんて感じましたが、全体を読むと納得できたのが以下の文章で、

「割安株投資であっても買ってすぐに戻る場合がおかしい」「いつ来るかわからない株価上昇を待って、ひたすら我慢する」という投資スタイルが良い。

とあり、確かに自分が見つけた!と思っても世の中のタイミングが今からくるわけもなく、どうしても株式投資を行うと自分が一番世界でえらい気持ちになってしまってすぐに成果を求めて株価ばかり追いかけてしまいますが、それこそ傲慢というものなのでしょう。

苦瓜さんが投資で考えるのは「いつ」ではなく「いくら」か

で、投資対象銘柄を出し、自分の適正株価を出し、乖離率の高い順に購入するやり方です。

尺度として出てくるのがPER(1株当たりの利益の何倍まで株価が買われているかの倍率を示す指標)とPBR(1株当たりの資産に対して株価がどの程度の水準になるかを示す指標)ですが、PERを重視して投資しているようです。

これには賛否あると思います。なぜならPERは役に立たないという人が存在するのも事実です。しかし、今期の予想値を使って株価を想定しているようです。

ただ、この尺度の利用も柔軟で、買ってよい水準の明確な定義は株式市場に存在はしないと前置きを書いたうえで、「高成長企業でない物の、伸びしろはあり、さほど大きなリスクがない安定成長銘柄」の場合15倍くらいなら買って良い。

としてます。

また、伸び城がない企業は10倍程度、高成長企業の場合は50倍程度まで基準を広げるそうですが、それ以上となると見送るそうです。

 

また、とても参考になった意見が「過去のPERは判断材料に入れない」ことと「業績予想も1年程度先までしか考えない」という所で、企業は変化するし、株価も間違い続けていると考えており、将来もすべて予想できると考えてはいません。

やはり、企業の状態を企業訪問などを活用して常にチェックしながら株式に向き合っているようです。

 

また、投信会社のファンドマネジャーなのに良いのか?と思ったのが、テーマ型ファンドが世間では流行ってますが、苦瓜さんは懐疑的です。

物事を単純化して理解につながってしまうため大切なところを見逃してしまうリスクがあると考えており、やはり、一つ一つの企業をよく見て投資を行うのが基本スタンスだそうです。

株式の高値追いはしない主義のようです。

理由は、既に高成長を期待している株は上昇しており、それを買いに行くのは「自分が一番で、更に自分より馬鹿な投資家がいる」前提に立っているからだそうです。

 

その他本書の中では企業訪問を行った際にヒアリングする項目やまとめたノートの内容が紹介されていて自分で株式をチェックする際にも見方を参考にすると役に立つと感じました。

参考書はやはり「会社四季報」です。もちろんその他の情報媒体も参考にして投資をなさってます。

最後に注意点としては

①どんな情報も知り尽くすことはできない

②ある程度楽天的に取り組まないといけない

③常に自分は正しいはずだと思い込むタイプの人は損をしやすい

④迷ったら買わないことも必要

⑤人の半歩後ろをついてゆく投資法は必ず負ける

株式投資に神話はない

⑦「気絶投資法」ができる人が一番強い

 とこの世界にずっといる方だからこそ感じるやってはいけないポイントが書かれてました。額縁に入れて飾っておいたらいいかもしれません。

悩んだときに読む、みたいに。

 

感想

投資として参考になる考え方は多々ありましたが、PERの活用法は数字面で参考になりました。

①15倍程度であれば買ってよい

②15倍というのは「高成長企業でない物の、伸びしろはあり、さほど大きなリスクがない安定成長銘柄」の場合の基準。

③「あまり伸びしろはないものの、日本経済全体なりの業績をあげそうな銘柄」となると10倍程度。

④「例外的な高成長企業」の場合は50倍で計算もする。ただこれは著者の上限ギリギリ。

⑤PERの目安は業種で変えない。

また、

業績予想もせいぜい1年先程度までしか考えない

ある程度楽天的に取り組まないといけない

常に自分は正しいはずだと思い込むタイプの人は損をしやすい

迷ったら買わないことも必要

 これらの考え方も参考になります。

また、PERだけではなくて、本書には各企業を具体的にどうよいと思ったのかが詳細に書かれています。

ビジネスモデルや製品、経営者のこと、様々な角度から分析して、最後に価格の評価としてPERを活用しているわけで単にPERだけで投資を行ってはいません。

投資スタイルはバリュー投資だとご自身で書かれてます。

バリュー投資は私の印象だと、儲かる率は非常に高く、暴落リスクの少ない投資法と思います。

一方で評価されるまで時間がかかるので、なかなか上がらないケースも多く、じれったい気持ちになります。なので5年でも10年でも保有する気持ちで付き合わないと精神が持ちません。忍耐力を必要とされます。

本書は株式投資を行って保有する上での気持ちを支えてくれる本だと思いました。

困った時に読み返して、「そうだったよな、株価っていつも間違えてるんだよな」とか、「買ってすぐに上がるのを期待してやきもきするのが間違いだよな、元々どんなストーリーで購入したんだっけ」とか原点に返るときに読むとすっと入ると思います。

 

最後に私見ですが、投資信託について書いておくと、

日本の投資信託は私に言わせると90%以上は不要だと思います。

入り口手数料が高いし、信託報酬も高い、その割に運用成績がTOPIXやS&P500に負けているものばかりです。

ETFやネットで買える低コストインデックスファンドが良いケースがほとんどです。

しかし、ごく一部ですが、この苦瓜さんのようなある意味株式のマニアが運用する投信だけは生き残るような気がします

販売会社もテーマとかないので販売しにくいため残高が大きくなることもあまりないのですが、一本筋が通ったやり方で運用をしている人は参考になります。

金融機関に勤めている私からすると、花形ファンドマネジャーは大型株運用で1兆円とかの資金を集めるファンドを運用するような人じゃないかなと思われます。

小型株専門でテーマ型投資が嫌いって結構会社の方針と違う人なんじゃないかなと推察しました。

でもそんな人こそこれからのAIの時代になっても必要とされるファンドマネジャーなんだろうと感じた書籍でした。

もし、自分で選んで株を買うのでなければ苦瓜さんの運用するファンドは数少ないアクティブファンドの候補にしてよいだろうと思います。

 

※このブログでは全体の一部しか紹介出来てません。私の感想もかなり入ってます。

もし、テーマや内容に興味を持たれたら本書を購入の上ご確認ください。

 

 

 

 

 

日々の投資手法研究49 #睡眠 #オー

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44799650U9A510C1XXA000/

休退職リスク睡眠で予測:日経産業新聞

 

①スタートアップのオー(東京・目黒)は睡眠改善支援サービスを拡充する

②枕元に置いておくだけで睡眠時間や質を測るアプリをこどもみらい(東京・世田谷)と連携してを開発した

③理由をオーの谷本潤哉社長は「睡眠や生活習慣の方が休退職リスクや生産性低下に与える影響が大きい」と話す

④データからメンタルヘルス不調が強く疑われる社員がいた場合には、オーは企業には知らせずに当該の社員に産業医を紹介する

感想

社員のメンタル状態を外部の会社が管理するのはとても良いと感じました。

今後広がりそうです。

また、働く常識も変わりましたね、睡眠時間削って働くのがカッコいいとか頑張ってるとされて、残業時間長くなる要因にもなってましたが、睡眠時間や質こそ働く上での効率に繋がる議論に変わって来ました。

導入している企業は理解があって、導入してない企業は入れたく無い事情があるみたいな状況にもなりそうです。

また、外部機関に完全委託で会社が見れないのも良いと思います。

社内だと言いにくくて良いようにアンケート書いたり、人事考課に影響するので会社と切り離した方が良いです。

集中して働かないといけない時も必ずあるし、時には睡眠削って没頭する時も仕事には必要だと思いますが、やりすぎは健康や精神面に異常をきたすので客観的に管理するのも必要です。

会社側は社内で悪い数値が高ければ何が問題なのか改善する道具として使うと有用かなと思いました。

No.10改定 #株は新高値で買いなさい! #ふりーぱぱ #秀和システム

著者紹介

ふりーぱぱさん

1984慶應義塾大学商学部卒業、金融会社へ就職

1995年米国系大手証券会社へ転職

2004年10月から投資生活開始

「オニールの成長株発掘法」という本を繰り返し読んで会得、そして5億円ほどの資産を築かれているようです。

 

本書は2015年8月に書かれています。

目次と構成について

はじめに

第1章 成長株投資を始めよう!

第2章 成長企業と成長株の見つけ方

第3章 株式市場を読む力を身につける

第4章 成長株売買法

おわりに

無料進呈動画

 となっています。

ふりーぱぱさんは「インベスターズ・ビジネス・デイリー」の創設者。ウィリアム・オニール氏の書籍に出会ってから投資スタイルが変わったそうです。

そして、オニール氏の書籍に「新高値銘柄を変え!」などとあり、「年初来高値銘柄」に注目するスタイルをとり続けて資産を5億円以上築かれています。

成長株投資の定義は「最低でも1年間で株価が50%以上上がる株に投資すること」

だそうです。

 

しかし、ただ、高値銘柄だけを買えばいいわけではなくて、 売上高や経常利益の増加率がカギで、オニール氏は年間20%以上売上、経常利益の増加している会社が成長株の投資対象としているそうですが、アメリカは3%程度のインフレが続いている国なので、ふりーぱぱさんは日本では15%以上伸びていることを前提にしているそうです。

投資を検討した会社は会社四季報ROMを活用して業績のチェックやコメントのチェックを1年分行い、果たしてこの銘柄は業界のリーダーになるのか、今後も勝ち組足りえるのかなど詳細に分析を行って、更には実際にサービスを受けられる会社なら行ってみてから判断なさる念の入れようです。

 

本のタイトルだけを見ると、ただ、年初来高値銘柄を単純に買うのかな?と思い、テクニカル分析が主なのかな?と思いましたが、

あくまで主は業績であって、好業績銘柄が高値を更新する旬の時期が来たのを狙ってから投資するやり方で、実際に読んだ印象としてはテクニカルだけではなく、むしろ会社に投資をするやり方といえます。

 

一方で、出遅れ株は万年出遅れか、上がらないうちに下落してしまうリスクがあるから買ってはならない

とこれも過去に私が失敗した経験が私があることをきちんと書いてくださってます。

どうしても負け組銘柄は株価が安いので、株価だけを見て投資をしていると上がりそうな気がしてしまいます。けど、会社の業績の改善度合いやビジネスモデルを考えると既に世の中の流れから外れてしまっている銘柄も多く、手痛い失敗をした経験がたくさんあります。

 

投資銘柄数はオニール氏の考え方に従って5銘柄程度だそうです。

また、今世の中が何に注目しているのか、どんなブームが起きているか流行に敏感になることも株式投資の重要な要素として、書籍の中には過去からの様々なブームが書かれています。

株価のその時々の勢いも重視なさっており、 市場を「上昇」「下落」「ボックス」の3つに分類、定義しており、その状況に応じて個別銘柄の株式の買い方も変えており、とても細やかに相場を見てらっしゃるのが伝わってきます。

私が投資するうえで注意しないといけないなと改めて感じた文章は、

過去の株価と比較して今がバブルだとか騒ぐのはナンセンス、全体のPERなどを見て割高かどうか客観的に判断すること。

とあり、全く同意見でした。

株価だけや、上昇期間だけで判断すると見誤ります。

個別銘柄でも株価の上下の幅だけで売買の基準を決めている人がいますが、それをしてしまうと、折角大相場なのに早く利食って逃してしまったり、ちょっと下がっただけで損切りして回復を逃してしまったりが頻発します。

やはり、会社を見て、株式の勢いを見て、本当に成長が止まったのかなど総合的に見続けないといけないと改めて感じさせる文章でした。

また、買い方についても

資金のすべてを最初から注ぎ込まないこと

思惑は当たることより外れることの方が多い

と、調べてよい銘柄を見つけたといってもはやる気持ちを抑えて慎重に行動することを図解付きの具体例で説明なさってます。

感想

細かい数字の箇所が少ないので株式投資を行う上でシンプルな考え方です。

1年以内の売買にとても有効だと感じました。

また、銘柄を考えるうえで年初来高値をつけた銘柄を基準に考えるところが、とてもわかりやすく、絞りやすいのがポイントと私は感じました。

また、ふりーパパさんの凄いところは四季報を読み続けているところです。

簡単に書いてますが、四季報を読み続ける努力はとてつもない労力です。

でも、読み続けているからこそブームが来た時に敏感に反応できる銘柄を見つけることもでき、過去の事例から自信を持って投資を行える基礎になっていると考えられます。

もちろん、損切りなどもあったと思います。書籍では相場の下落時には速やかな撤退を促していますので判断力も必要です。

すぐに同じ境地に達することは難しいかもしれませんが、本書を読み返し、身に着けて訓練を繰り返すことでパフォーマンスを改善したいと強く感じた書籍でした。

 

※このブログでは全体の一部しか紹介出来てません。私の感想もかなり入ってます。

もし、テーマや内容に興味を持たれたら本書を購入の上ご確認ください。

 

 

 

 

 

 

日々の投資手法研究48 #KabuK Style

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000039388.html

PR TIMES に掲載のサービス開始のお知らせ

 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44651440Q9A510C1XY0000/

世界で働き 家はサブスク 日経産業新聞

①定額制(サブスクリプション)事業を手掛けるスタートアップ企業のKabuK Style(カブクスタイル、長崎市)は国内51カ所と海外7カ所の住居に自由に住めるサービスを4月に始めた

②外国人留学生やフリーランスで働く人など、幅広い層の需要を見込んでいる

③サービス名は「HafH(ハフ)」

④国内51カ所の宿泊施設に加えてベトナムや台湾、ギリシャケニアなどの施設とも提携し、客室をハフのサービスとして提供する

家を持たずに転々としながら生活する人を「アドレスホッパー」と言う

⑤砂田共同代表は「家を決めて定住するのはこれまで当たり前だった考え方だが、近い将来には定住せず、住居もシェアすることが普通になっていく」と予想する

感想

読んだ時に、家もサブスク?となった私は古いのかもしれません。

「アドレスホッパー」って「ネットカフェ難民」みたいな悪い響きは全くありません。

大きな家を買い、豪華なクルマに乗り、海外に別荘を持ち、会社は立派な自社ビルを保有しているのが従来のかっこいいとされたスタイルですが、今や別荘は持つ時代でもないですし、自家用車もレンタカーやシェアリングの時代、自社ビルを売却する会社は沢山ありますし、確かに家を所有する時代でもないと思います。

ただ、定住しない生き方まであるのかとなると私みたいな40代は考えてしまいます。

定住してなくてフリーランスだと現状金融機関だと銀行口座やクレジットカードはどうするんだろうと疑問を持ちましたが、外国人には面白いサービスだと思います。

住宅も多様化ですね、買う流れが賃貸との比較論になってきたのは私の親世代の団塊世代では考えられ無い話で、買うのが当たり前、ローンを組んでお父さんはローンを退職金で払う、けど資産になるんだ!と言っていたのが今や昔。

出張ならホテルだったのがサブスク住宅への流れ。

旅行もホテル、民泊に加えて選択肢が広がりますね。

日本も空き家問題が深刻になって来てますので、供給には困らなさそうですね。

まだ時代の主力になるには時間がかかりそうですが、仕事のフリーランス化や副業が広がるとこれが当たり前になるのかもしれません。

しかし、ふと思うのが、シェア経済の広がりは時代の流れだと思いますが、デフレ化の大きな流れが流れているのかなとも感じました。

家を買うのは3-5000万はしますし、家具など含めるともっとです。

イカー(これ自体使わなくなりましたが)も数年に一度買い替えると2000万円くらいかかります。

地方ではまだまだ自動車がないと不便で生活がしにくいですが、都市部ではクルマ離れが深刻化して、あのトヨタ自動車でさえ焦りを感じてます。

この流れが巻き起こるとGDPの成長率は今までは住宅販売の伸びや自動車販売の伸びが重要な要素だったのに統計も役に立たなくなるリスクもあるし、

家を購入して、皆が自動車を買う前提だったインフラ投資計画、

利下げがローン金利を下げ、消費を刺激する金融政策まで影響が出そうに感じます。

今、世界の中央銀行が利下げで景気回復といっても中々消費に火がつかず、インフレが起こらなくて困っているのはこれらの大きな流れが原因かもしれません。

人には衣食住は必須ですし、移動手段も必要ですが、価値観が変われば支出の構成が変わってしまうので動向には今後も注意が必要です。

また、お金は流れるところが変わっても引き続き流れ続けるのでどこに流れるのかを良く考えることが株式投資にも重要だと考えます。

 

また、別の角度からみると、今回記事の会社は長崎に本社があるとのこと、今は東京本社が当たり前で地方本社は形骸化して、人、モノ、金が東京一極集中といわれて久しいです。

けど、この会社のように全く新しい価値観を生み出し、世界を相手に商売を行う場合は本社の場所はどこでも良いことになります。

私は大阪出身で、各地の転勤を経て現在は関西在住です、良くテレビで東京対大阪みたいな比較を目にします。

でも、規模の論理で戦うなら人が多く住んで、首都の東京にかなうはずはありません。

また、地方創生と言われて久しいですが、どれもミニ東京を作ろうという計画ばかりでそもそも人がいなくて企業も少ないので一向に成功せず、若い人はどんどん東京に出ます。

政治家も国会議員は年齢も高く、選挙区だけ地方で東京出身者が多いです。

地方自治体も関東の大学を出た人が戻っているケースも多いのでどうしても憧れが先行するのではと思われます。

私も東京に住んでみて、楽しさや情報の多さ、快適さを楽しんだし、とても魅力的な街だと今でも思ってます。

学生時代や社会人なり立ての時に過ごすには刺激も多く、良い面もたくさんあります。

けど、こんな新興企業があちこちにできて、新しい魅力を世界に発信できるようになれば地方で雇用が生まれて地元が明るくなる可能性を感じる記事でもありました。

頑張ってほしいです。

日々の投資手法研究47 #トヨタ自動車

トヨタ自動車の決算発表が印象的だったので記事と決算内容について書いてみました

トヨタ「次世代の移動基盤に」 前期営業益3%増、売上高初の30兆円 原価低減徹底が寄与 :日本経済新聞

まず、日経新聞には好意的な記事が書いてありました

トヨタ自動車が8日発表した2019年3月期の連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前の期比3%増の2兆4675億円

②「CASE」への投資は拡大するが吸収した。売上高は日本企業で初めて30兆円台の大台に乗った

純利益を世界販売台数で割った「1台当たり利益」はトヨタの18年度までの過去3年間は約20万円。14年度までの3年間平均から2割上昇

高級車が中心であるダイムラーや独BMW(約40万~50万円)には及ばないが、大衆車も手掛ける独フォルクスワーゲン(約11万円)、米ゼネラル・モーターズ(約5万円)などを大きく上回る

 

全体的に北米の回復、中国の売り上げ増、原価低減努力の効果もあって世界大手の中で非常に好調な結果を出していることが強調されています

しかし、

  

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44533880Y9A500C1X11000/

トヨタ社長「事業モデル壊れる」 日経産業新聞 5/9

 

①2019年3月期の連結営業利益は2兆4675億円と前の期を2.8%上回る

これは豊田章男氏が社長に就いてから10年間で3番目の水準

豊田社長は「ビジネスモデルそのものが壊れる可能性がある」

 「トヨタは大丈夫というのが一番、危険な言動」と危機感が強い

研究開発費は20年3月期に1兆1000億円と過去最大で将来的にCASEに対応する投資は5割近くを占めるようになる

一方、米IT(情報技術)の巨人の研究開発費は2兆~3兆円規模にのぼる

④またトヨタ労務費は膨らみ、20年3月期に650億円の減益要因

 

日経新聞日経産業新聞で大きく記事の印象が違います

そこで

https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2019_4q_presentation_jp.pdf

トヨタ自動車のIR資料から決算発表の内容を見てみました。

すると、

販売台数はざっと900万台で日本220万台、北米270万台、欧州100万台、アジア170万台、その他130万台です。

販売台数でいうともはやアメリカのトヨタの印象が強く、日本は全体の1/4に過ぎません。

しかし、地域別営業利益を見ると驚くことに、

日本1.69兆円、北米1441億円、欧州1211億円、アジア4537億円、その他895億円となっており、トヨタ全体の営業利益の70%近くが日本で稼がれており、やはり日本の会社なんだなと強く感じられます。

1台当たりの利益が日経で各社比較がありましたが、地域別でみると

日本77万円、北米5.3万円、欧州12万円、アジア26万円、その他6.8万円となり、日本での1台当たりの利益が突出しており、北米だと記事にあったフォード並みということになります。北米増益と書かれていましたが、国内販売利益の増減がトヨタにとって最も大きな利益変動要因です。

 

 その他は金融事業で3423億円の営業利益です。

株主還元はかなり積極的な印象です。

配当に6500億円、自社株買いに5500億円と1.2兆円を還元に吐き出しており、還元率は約50%です。

2020.3予想は売上は30兆円、営業利益は2.55兆円、2.25兆円を予定しており、営業利益の伸び率は3.6%ですのでかなり慎重にみています。

なぜ豊田社長が危機感を持つのが決算発表を見るとわかる気がしました。

全世界9500万台の販売の1割を占める日本を代表する製造業で、37万人も従業員がいて、就職ランキングでも常に上位常連のトヨタなので人材も必ず集まります。

①しかし、CASE対応で1.1兆円の研究開発費の40-50%を投じていても、新たに出てきた米IT大手は2-3兆円を投じており、圧倒的な差が出てきてしまっている。

既に自動車メーカーの敵が自動車メーカーではない現実があるのが一つ。

②次に営業利益が2.5兆円近いといっても日本で稼いだ利益が70%となり、偏りがあることと、日本国内に目を向けると「車離れ」は深刻です。

国内の営業利益を出しているうちに次の時代の主役になれないと、トヨタもかつての半導体メーカーの道をたどることになりかねないと感じた次第です。

 

最後に株価チェックを四季報オンラインのデータで見ておきます

来期予想PERは9.61倍、PBRに至っては0.95倍と純資産価格割れ、配当利回りも3.36%、2019/05/10終値6537円で時価総額21.6兆円でPSRが0.7倍と足元の株価と各指標は決して高くなく、むしろ割安株の印象さえ受けます

今後トヨタが世界の中で打ち勝てると信じるのであれば長期投資として購入するのも面白いかもしれません。

日々の投資手法研究46 #日立製作所

日立、営業益1兆円めざす 新中計発表 IoT軸に欧米勢追う 脱「内弁慶」へ海外展開課題 :日本経済新聞

 

日経新聞からです 2021年の中期経営計画や四季報から見て日立株がどんな評価ができるかを考えてみました。

日立製作所は10日、2021年度までの中期経営計画を発表した。連結営業利益で1兆円(18年度は7549億円)を目指す

②18年度で約9兆4800億円だった連結売上高を年3%伸ばし、3年後に10兆円以上とする。8%の売上高営業利益率も10%超に引き上げる

③柱となるのがIoT、日立は16年から「ルマーダ」という名称でIoT事業を開始

東原社長は現在1兆円規模の売り上げを3年後に2兆円にしたいと話した

④IoTなどへの投資で、日立は51%の海外売上高比率を6割超に引き上げる考え

⑤日立は経営指標に投下資本利益率(ROIC)を採用、10%を目指す

時価総額でみると日立の約3.5兆円に対し、シーメンスは約11兆円、IBMは約13兆円

3年後の中期経営計画が達成されたとして考えると

四季報オンラインのデータを見ると

2018.3 実績 売上9.36兆円 営業利益5860億円 一株益376円

2019.3 実績 売上9.48兆円 営業利益7549億円 一株益230円

2020.3 予想 売上9   兆円   営業利益7000億円 一株益450円

2021.3 予想 売上9.3兆円   営業利益7230億円 一株益464円

 

日立製作所のHPの中期経営計画の数字です

2021.3 中計 売上10兆円 営業利益1兆円  一株益618円

営業利益は1兆円の時に想定で約6000億円の純利益と考えてます

発行済株式数が約9.7億株なので割って一株利益を算出しています

これによると

営業利益伸び率は四季報オンラインでは

2018→2019年が約29%、2019年→2020年がマイナス、2021年→2021年が3.3%

四季報オンライン上の営業利益予想の推移と中期経営計画の目標に乖離が見られます

売上高営業利益率10%を目指すとありますが、現在は6.2%、2019年予想でも8%弱です

少し中期経営計画の数字を達成するには現在の新事業の成績がどのくらい伸びるのか、もしくはここ数年で事業買収なども進めて買えないといけない部分が大きい印象はあります

2019/05/10(金)株価は3683円で時価総額は約3.5兆円です

2020.3予想数字で見てPSRは0.39倍、PERは8.2倍、

営業利益伸率はマイナスです

2021.3予想数字で見てPSRは0.38倍、PERは7.9倍、

営業利益伸率は3.3%

PEGは2018年から2019年の実績値を扱わずに2019年予想と2020年予想の平均営業利益伸率1.65%(マイナスは0とカウントしてます)で出すので

2021.3PERで見ると4.8倍になります

ただ、1株利益で見るとかなり変わります

ここはPEGは判断基準に使わないほうがいいかもしれません

四季報オンライン上の数字の評価で見ると、成長性にはあまり期待ができないですが、

指標上は非常に割安感はあります

日経平均の平均PERが12倍程度なのでもう少し評価されてもいいのじゃないかなと思えます

もちろん組み入れ銘柄なので日経平均の上下には左右されます

 

仮にですが中期経営計画が達成された場合

PSRは0.35倍、PERは6倍になります

営業利益伸率は2020.3→2021.3で43%増益と驚異的な数字が出てきます

となると、2019.3→2020.3を0として、2020.3→2021.3の42%増益の平均を出すと21%なのでPEGは0.28倍とものすごく割安な数字が出てきます

PERで見ると東証一部銘柄のPERは大体12~15倍程度での評価が多いので現在の株価より2倍が妥当となります

PSR1倍とみると現在の3倍

PEGでみると1倍まで上昇とみても4倍です

もちろん中期経営計画ですので実際に実現できるかは不透明ですが、期待して保有するのも良いと思います。

もう少し株式市場で評価されても良いのではないかな?と感じる銘柄でした